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ミステリの祭典

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砂漠の悪魔

作家 近藤史恵
出版日2010年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 ことは
(2025/08/31 02:25登録)
プロットの骨組みはすっかり冒険小説だ。近藤さん、こんなのも書けるんだ。多才だなぁ。
ネットを見ると、ロード小説との評もあり、確かにそう。主人公は、事件により身をおとし、命令されて中国に行く。そして、意志をもったり、流されたりして、旅をする。旅の風景は、スケッチのようで、軽い旅情を感じる。心地良いくらいだ。
しかし、設定や背景には、その時の中国の情勢が組み込まれ、社会性がある。この部分が刺さる人も多そうだ。
個人的には、軽やかさと重々しさが喧嘩していて、それほど高い評価でないが、他に読んだ人の感想を聞きたくなるのは間違いない。

No.1 5点 kanamori
(2010/11/14 22:02登録)
ちょっとした悪意から友人を自殺に追い込んでしまった日本人大学生の流浪の旅。中国の西の果て・ウイグル自治区へ行きつくまでのロード・ノベルであるとともに、主人公・広太の心の旅でもある。
海外の僻地を舞台にした少数民族が絡む小説といえば、胡桃沢耕史や船戸与一の冒険小説が思い浮かびますが、前者のような冒険ロマンの味わいはなく、後者ほど過激なノワールが前面に出てこない。主人公の心情の変転を丁寧に描写する作者らしい作品ですが、広太たちが終盤に遭遇する”タクラマカン砂漠の悪魔”の扱いについては賛否が分かれそう。

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