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ミステリの祭典

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太陽が死んだ夜

作家 月原渉
出版日2010年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2023/05/09 12:44登録)
 青春ミステリ的な少女の成長譚としての要素が、事件の様相と上手く噛み合っていないような。人死にの数と比べて、心情的に犯人をサラッと赦し過ぎじゃない? 特に “死体の腹を割く” ことが妙に軽く扱われているように感じた。
 舞台がキリスト教系の全寮制女子校だと “いいなぁ” と思うのは、適度に丁寧な言葉遣いのガールズ・トークが好きだから。これが男子校だとわざとらしく粗野になりがちなんだよね。

No.1 5点
(2013/09/27 22:32登録)
この第20回鮎川哲也賞受賞作は、第二次大戦中、ニュージーランドにあった捕虜収容所で起こったフェザーストン事件を利用しています。おそらくほとんど知られていない事件を取り上げたという意味でも興味深い作品ですが、メインの舞台となるニュージーランドの女子校の雰囲気が魅力的で、生徒たちもしっかり描き分けられていて、かなり楽しんで読み進むことができました。
全体的には、起こった時期の異なる3つの同じような状況の密室殺人事件にそれぞれ別の解答を与えるという趣向を持った謎解きミステリになっています。さらに第4の殺人も一応密室です。2つめの密室トリックはかなり無理があると思いますし、それ以外の3つはたいしたことはありません。しかもそれら密室の解明は、真犯人が指摘された後70ページ近くもかけて少しずつ行われていきます。この構成はそれほど成功しているとも思えませんでした。

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