home

ミステリの祭典

login
マドンナ・ヴェルデ
海堂シリーズ現代篇

作家 海堂尊
出版日2010年03月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 7点 E-BANKER
(2013/04/11 23:00登録)
映画化もされた「ジーン・ワルツ」が『表』の作品なら、本作は『裏』の作品という位置付け。
“クール・ウィッチ”の異名を持つ美人産婦人科医・曾根崎理恵と、その母親・山咲みどりの二人が織り成す狂想曲。

~美貌の産婦人科医・曾根崎理恵。人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。彼女は母に問う。「ママ、私の子供を産んでくれない?」 日本では許されぬ代理出産に悩む、母・山咲みどり。これは誰の子供か。私が産むのは子か孫か? やがて明らかになる魔女の嘘は、母娘の関係を変化させる・・・。「ジーン・ワルツ」では語られなかったもうひとつの物語。新世紀のメディカル・エンターテイメント作品~

とにかく感心させられる。
海堂氏の作家としての資質、懐の深さにはとにかく脱帽だ。
もちろん、本作はミステリーとしての要素は皆無に近いし、あまりに作品が量産されすぎてることで毛嫌いされる向きもあるだろう。
でも、「桜宮サーガ」というか、この「世界観」の広がりは尋常ではない・・・と思う。

前作「ジーン・ワルツ」は、海堂作品にややげんなりしていた気持ちを、もう一度向かわせた作品なのだが、本作は何と「ジーン・ワルツ」の片割れとも言える作品。
本作で産まれる理恵(みどり?)の子供も双子なのだが、作品自体もまさに『双子』というべきなのだろう。
「ジーン・ワルツ」でも登場した、清川医師やマリアクリニックの老医院長、そして何より、時を同じくして赤ちゃんを授かることになる妊婦たち・・・相変わらずキャラは見事なまでに立っている。

本作一番のシーンは、終盤の母娘の対決シーン。
冷徹なクール・ウィッチが、のんびり屋でちょっと鈍臭いみどりの策略に敗れる場面・・・
結果的には、これが二人の母娘と「双子」に劇的な変化をもたらすのだ。

「代理母」や「産婦人科医不足」は医療関連ではポピュラーなテーマだろうが、ここでも学会などの権威に対する作者の姿勢が伺える。
何だが、ミステリーの書評っぽくないが、とにかく個人的には面白く読ませていただいた。
続編も構想中とのことなので、期待してます。

No.2 7点 VOLKS
(2011/01/06 15:51登録)
「ジーン・ワルツ」を読む前に読むべからず。
曾根崎母子が主になり、どちらかといえば「母」からの視点で書かれているので、ついつい「母の意見」に納得しがちだが、事前に「ジーン・ワルツ」を読んでいると「娘・曾根崎女医」の心理や信念も解っているため、中立的に読むことが出来る。

No.1 4点 白い風
(2010/10/08 18:41登録)
『ジーン・ワルツ』の裏編だね。
だから、『ジーン・ワルツ』を読んでなかったら面白みは半減だと思うよ。
ラストの展開もおおよそ想像できると思うな。
もう完全海堂作品は惰性で読んでいますね。

3レコード表示中です 書評