ドアは語る |
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作家 | M・R・ラインハート |
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出版日 | 1961年07月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | nukkam | |
(2019/06/03 23:09登録) (ネタバレなしです) 本格派推理小説一辺倒で他のミステリージャンルを敬遠している私はサスペンス小説家として名高いラインハートはあまり関心がなく、1930年発表の本書が私にとっては「螺旋階段の闇」(1908年)に次いで2冊目のラインハート作品です。ハヤカワポケットブック版の巻末解説では「クリスティーを思わせる」と紹介されていますが、作風が大きく違うように思います。手掛かりらしきものが多数散りばめられ、最後まで犯人当ての興味で引っ張るプロットで本格派推理小説に分類できる内容ではあります。とはいえほとんどの容疑者が怪しい行動をとるというのが謎としては過剰演出気味だし、展開も非常に回りくどくて重厚過ぎて読みにくいです。謎解き説明がいまひとつ明快でないところもクリスティーとは大きく異なります。丁寧に書かれた力作ではあるのですがもう少し風通しを良くして欲しかったですね。 |
No.1 | 7点 | 空 | |
(2017/05/09 23:07登録) HIBK (Had-I-but- known) 派の代表作家と言われるメアリ・ロバーツ・ラインハートですが、少なくとも本作に関する限り、事件関係者の一人称形式によるフーダニットと言ってもいいのではないかと思えました。読んだのはポケミス1961年の初版で、訳者あとがきでも、「アメリカのクリスティーだなどと評されることがある」とか「伏線の張り方が用意周到である点は、特にクリスティーを思わせる」、ただしラインハートの方が先輩だといったことが書かれています。 雰囲気的には、確かにクリスティーなら『牧師館の殺人』のようなイギリスの地方を舞台にしたミステリっぽい感じがしますし、ハリスン警部の人柄もフレンチ警部あたりを思わせる穏やかさです。ただし伏線と言っても、読者への挑戦を挿入できるようなタイプの作品ではありません。また最後の銃撃事件については、動機がはっきりせず、不要だったのではと思えました。 |