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ミステリの祭典

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獣たちの庭園

作家 ジェフリー・ディーヴァー
出版日2005年09月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 Tetchy
(2012/01/05 21:41登録)
ディーヴァーによる初の歴史小説。舞台は第二次世界大戦前のドイツ。台頭してきたヒトラーの頭脳とも云えるラインハルト・エルンスト暗殺を命じられる殺し屋の物語だ。

リンカーン・ライムシリーズとは違い、最初から目くるめくサスペンスの応酬といった物語運びではなく、主人公ポール・シューマンがひょんなことから任務に就くことを余儀なくされ、ドイツに潜入して現地工作員と落ち合い、標的の暗殺計画を練り、実行に至るまでのプロセスがじっくりと描かれていく。

派手さに欠けるものの、ディーヴァーならではのどんでん返しもあり、最後のポールの決断ともう一人の主役ヴィリの決断はなかなか渋さを感じる。ディーヴァーはこんなものも書けるのだなぁと思った次第。
ジェフリー・ディーヴァーという作者名からいつもの作風を期待すると肩透かしを食らうかもしれないがこれもまたディーヴァーなのだ。暗殺者と標的、そしてそれを追う者の攻防に焦点を当てず、敢えてナチス統治下のドイツを克明に描くことを選択したディーヴァーの意図を是非とも汲み取ってもらいたい作品だ。

No.1 6点 kanamori
(2011/01/07 21:43登録)
ナチス政権下のドイツを舞台にした歴史冒険サスペンス。
これまでのディーヴァーの作品と全く異なる設定ながら、ベルリン・オリンピックなどの情報を多く取り入れた当時の雰囲気創りは◎。なれないジャンルに取り組んだ意欲は評価したいです。
一方、そのため物語のテンポはやや悪いように感じました。主人公の経歴はユニークで面白いものの、こういった要人暗殺ものは過去に多く書かれており、先達の傑作には及ばないように思います。

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