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ミステリの祭典

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Kの日々

作家 大沢在昌
出版日2006年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2020/04/19 18:21登録)
消えた8,000万円を追って、裏社会の人間たちがそれぞれのプライドを賭け、蠢いていく・・・
物語の中心にあるのは謎の美女“K”
2010年の発表。

~闇に葬られた三年前の組長誘拐事件。身代金は八千万円。身代金を受け取った中国人・李は、事件から間もなく、白骨となって東京湾に浮かんだという。李の恋人ケイ(K)の調査を始めた裏の探偵・木(モク)。謎の女Kは、恋人を殺しカネを独り占めした悪女なのか、それとも亡き恋人を今も思い続ける聖女なのか? 逆転、また逆転、手に汗握る長編ミステリー~

うーん。ちょっと「龍頭蛇尾」的な作品に思えた。
出だしから終盤まではマズマズ。
主人公の探偵・木、誘拐された組長の息子でヤクザの二代目、裏の死体処理稼業の男、誘拐犯に仕立てられたヤクザの二人組、そしてヤクザをも食い物にする刑事・・・
それぞれがそれぞれの思惑を持ち、付いたり離れたりしながら消えた8,000万円を追う。
殺人の実行犯、裏で事件の糸を引いていた人物は誰なのか、なかなか判然としない展開が続くことで、読者の関心を繋いでいく。

そう、ここまではいいのだ。
問題は最終盤。どんどんページ数が少なくなっているにも関わらず、相変わらず「誰がやったのか?」という展開が続くなか、「?!」 唐突にやってきた急展開!
「えっ!」って思ってるうちに終了してしまった。
いやいや、それはなぁー。いわゆる後出しではないか?
まぁそもそも本格ミステリーじゃないんだから、読者が謎を解けるなんて思ってなかったけど、そういう可能性があるのなら、もっと早い段階で探偵たちが調査するんじゃないのか?というのが偽らざる感想。
美女・Kの謎もなぁー。引っ張った割には特段サプライズはなかったしなぁ・・・

ということで、やっぱり「龍頭蛇尾」っていう評価がピッタリ当て嵌まる。
ぜんぜんダメっていうわけではないんだけどね。

No.1 6点 kanamori
(2010/12/18 16:16登録)
消えた8000万円の争奪戦というクライム小説。
秘密を知る雑貨店経営の女性「K」を巡って、主人公の裏稼業探偵をはじめ、ヤクザ組長の息子、過去の誘拐に関わった男、悪徳警官など怪しげな男たちが蠢いて宝探しが始まる。
会話文主体のプロットはサクサク読めるし、その会話の裏の思惑を読み解きながら、徐々に構図が見えて来る構成は、ベテラン作家の円熟したテクニックを感じさせました。
Amazonの★数を見ると、いやに評価が低いのですが、そんなに酷い出来とは思わなかった。

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