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ミステリの祭典

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ストラング先生の謎解き講義

作家 ウィリアム・ブリテン
出版日2010年08月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2019/08/14 20:35登録)
(ネタバレなしです) 作者を代表するミステリー作品といえば「読んだ男」シリーズとストラング先生シリーズ、どちらも作者の生前には本国アメリカでは短編集が出版されず、ようやく2018年になって「The Man Who Read Mysteies」という短編集が前者を全11作と後者を7作収めて出版されました。ちなみに日本ではこれよりも早くストラング先生シリーズを14作収めてぎりぎり作者が亡くなる前の2010年に論創社版の本書が出版されています。全32作の短編が短編集に収められることを祈念します。作風はエドワード・ホックの諸短編とアイザック・アシモフの黒後家蜘蛛シリーズの中間風の本格派推理小説で、凶悪犯罪が少ないことと往々にして犯人当て要素が軽視されています。他愛もない謎解きが多いですが本書の中では推理説明が丁寧な「ストラング先生の初講義」と異色の怪死事件の謎解きの異様な展開の「ストラング先生の熊退治」が印象に残りました。

No.2 6点 mini
(2011/01/12 10:08登録)
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」などのパロディ短編で知られるW・ブリテンだが、作品数的に見てもメインとなるシリーズはストラング先生でしょう
このシリーズは初出は殆ど全てがEQMM誌であり、E・D・ホックと並んでEQMMの常連作家の1人である
「誰々を読んだ男」シリーズだけではホックを連想するのは難しいが、このストラング先生ものは作者の正体が不明だった当時、ホックの別名ではないかと噂が立ったのも無理からぬ話だ
今では経歴なども判明していてホックとは別人である事は分かっているのだが、ホックのファンには受けそうなシリーズである
それにしてもこの雰囲気、日本の”日常の謎派”を思わせるものがある
実は海外作品には日本の日常の謎的な作例は案外と少ない
よくコージー派の説明で日本の日常の謎派に例える人が居るが、これは解釈を完全に誤っていて、コージー派はドメスティックではあるが普通に殺人事件が発生したりで決して日常の謎的ではない
もし海外作品にも日常の謎みたいな作例があるのですか?と聞かれたら私は真っ先にストラング先生シリーズを挙げたい
惜しむらくはkanamoriさんも御指摘の通りで、作者の書き方センスの問題なんだろうが、ちょっと伏線の提示がストレート過ぎてトリックが見破り易いのが難
まぁでも「先生、証拠のかけらを拾う」とか「先生、密室を開ける」などはトリックマニアには受けそうだ
後者のトリックは私も途中で気付いちゃったが、前者のは意表を突かれた
個人的な好みでは、いつもの舞台である学校を離れ博物館に出向く、「先生の博物館見学」「先生と消えた船」の二作が面白かった
特に「先生と消えた船」はシーズンオフの観光地の地方博物館が舞台だけに雰囲気が楽しめた

※ 余談だがネット上の書評で、作者名に関してブルテン表記の方が良いみたいな異見を見たが、多分最初に「カーを読んだ男」が紹介された時の作者名がそうだったからというのが理由なんだろう
しかし”W.Brittain”なのだから現在のブリテン表記の方が適切ではないかと思うのだが

No.1 6点 kanamori
(2010/09/27 18:07登録)
短編パズラーの書き手として、エドワード・ホックと並んでEQMMの常連作家であったブリテンの看板シリーズ、高校の化学教師ストラング先生もの14編が収録された連作短編集。
ほとんどの作品が、パズラーの王道をいく不可能犯罪ものですが、作者の律義な性格の表れか、トリックに捻りが不足していて真相が分かりやすいものが多かったのは少々残念。
しかし、あまり読まれないであろうマニアックな作品を次々出版し続ける論創社の編集方針に対して、採点にプラス1点を献上。

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