home

ミステリの祭典

login
Qを出す男

作家 島田一男
出版日1965年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 斎藤警部
(2022/07/01 21:38登録)
土曜日が半ドンだった時代、関東テレビ『七つの疑問』は視聴率3割を常に超える金曜夜の鉄板番組。現実の迷宮入り事件をドラマ(生放送!)に仕立て、ドラマの後は実際の事件関係者に登場してもらい、司会の質問に一つずつ答えるという、危険極まりない趣向。 案の定、当番組が契機となったとしか考えられない新たな事件が勃発しまくり、当番組のディレクター小暮がAD矢沢と手を取り短時間でバッサバッサと解決しまくる連作8篇。 今年は夏が早い。昭和の夏の季語、島田一男は早くも全開だ。

はい、本番!/特別出演/作者登場/おくら番組/特別参加/当てレコ/アドリブ/吹き替え  (春陽文庫)

少ないページに真相のバリエーションをよくぞ頑張って揃えたもんだが、またアレのナニがそうなっちゃったんだろ?ってどうもパターンが見えてしまいがち。解決シーンも、読者はもう分かってるよって感じなのにやたらゆったりユタユタしてたり、かと思うと複雑怪奇な真相の暴露をラストスパート凝縮でやたらバタバタしてみたり、分かりやすかったり稀に分かりづらかったり、濃淡がマチマチなんですが、そんなんは大した瑕じゃありませんな。江守森江さん仰る通り、読んだら忘れる面白作品としては、そのへん変に凝ったり整えたりで文章の勢いを殺いでしまったら元も子もありません。

とは言え、玉石混交というのは違うけど、中にはなかなかガツンと来る本格魂ストレート内角高めの忘れ難きブツもやはり混じってるんですね。 ただ、そういうのだけ撰んでコンパイルしても島田一男の良さの全体像は伝わらなかろうねえ。

関係ないけど、むかし一部のマスコミで「男のいちも◯」を「Q」と呼ぼうというズッコケキャンペーンをプチ展開してた事があって、結局すぐポシャっちゃったんですけど(誰か憶えてる方いらっしゃいません?
1980年前後だったと思います)、この本のタイトル見るとそれ思い出しちゃって、ど~うも笑っちまうんです。

No.1 7点 江守森江
(2010/08/17 21:21登録)
迷宮入り事件を取り上げる「七ッの疑問」というテレビ番組ディレクターを主人公にした連作短編シリーズ。
作者の持ち味であるテンポの良さが遺憾なく発揮され、尚且つバラエティーに富んだ趣向の推理物で非常に楽しめた。
この作品が書かれた時期には通俗推理物作家として目覚めていて、読んだら忘れるが面白い作品(これぞエンタメの極み)を連発していた。

2レコード表示中です 書評