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ミステリの祭典

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暗殺教程
スパイキャッチャーJ3

作家 都筑道夫
出版日1967年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点
(2020/08/24 18:14登録)
 昭和四十(1965)年十月七日から昭和四十一(1966)年三月三十一日にかけて全26回にわたってテレビ朝日系で放映され、後の『キイハンター』『Gメン75』へと続く東映アクションドラマの原点となった特撮スパイアクション、『スパイキャッチャーJ3』の原作。香港移住民の集団失踪事件を追う"The Undercover Line of International Police(国際警察秘密ライン:通称チューリップ)"日本支部のトップ・スパイキャッチャー、J3こと吹雪俊介と、"The International Group of Espionage and Revolt(国際謀略反乱グループ:通称タイガー)"との、目まぐるしく攻守の入れ替わる諜報戦とアクションシーンを描くアタック・アンド・カウンター・アタック・ストーリイ。
 田中小実昌・山下諭一・中田雅久など翻訳ミステリ雑誌「マンハント」のメンバーと共にフォーマットづくりを行い、都筑が執筆したワンクール分のエピソード十三本(ほぼお蔵入り)を流用し、雑誌「F6セブン」依頼のアクション小説に仕立て直したもの。連載時期も四十年の年末から四十一年にかけて全三十六回と、ドラマ版とほぼ同じ。『三重露出』の次作で、都筑道夫名義では九冊目の長篇小説。初期の先鋭的な長篇群から離れ、中期に入って『夢幻地獄四十八景』などのショート・ショートに傾注し始めた頃の作品にあたります。
 名神高速道路上での銃撃戦を皮切りに、中京大学移転先での鬼ごっこに加え戦車との対決、日本支部に隣接したカジノでのギャンブル、さらにヘリコプターを追い東京湾の芝浦へ、続いて磐梯山麓スキー場での死闘のあと、コンクリート・ミキサーとブルドーザーに前後を挟まれ銃撃戦と、かなり展開は派手め。ふざけた組織名の割に、Jメンバーはベテランから若手までしょっぱなからバンバン殉職。マーティン(貂)やパンサリス(女豹)など、動物名のついたタイガー暗殺者を幾人か倒すものの、全体の2/3が経過するまでは肝心の暗殺計画も防ぎきれず、敵組織にはずっと押されっぱなし。主人公・吹雪俊介が日本を離れ、そもそもの発端である香港の地へ飛ぶことでやっとチューリップサイドの巻き返しが始まります。
 タイガーの足跡を追って香港→マカオ→香港、さらに潜水艦で瀬戸内海の無人遊園地に移動した後メンバー総動員で決着。作者の自信作だけあって、アクションや小道具にプラスしてミステリ要素も組み込む凝り様。ただタイガー側が余裕綽々というか詰めが甘過ぎて、今読むと少々緊迫感に欠けるのが難かな。ある意味007系の王道ですが、アクション小説としては『なめくじに聞いてみろ』や『紙の罠』より格落ちします。イアン・フレミングは全然消化してないんで比較できませんが、読んだ中では本書より望月三起也『秘密探偵JA』の方が好み。アッチの方がハッタリ利いてて面白いです。

No.1 6点 kanamori
(2010/08/15 14:47登録)
ジェームス・ボンドの世界をそのまま持ってきたような娯楽スパイ・アクション小説。
日本の秘密警察員・吹雪俊介が、謎の国際陰謀組織と対峙するチープ感ただようB級アクションものですが、使われる小道具のアイデアやしゃれた会話が満載で楽しめた。

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