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ミステリの祭典

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第四の敵

作家 山田正紀
出版日1989年06月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 虫暮部
(2023/08/10 12:28登録)
 目次を見るといきなり! カフカじゃないか。これは私の専門なので任せたまえ(嘘)。
 例えば巨大にして曖昧な “敵” の組織は「流刑地で」の奇妙な処刑装置を抽象化したものと読める。主人公がやらせのドキュメンタリーの主役を務めさせられそうになるのは「変身」の逆転であるし、何処まで行っても中枢に近付けない無力感は『城』そのものだ(嘘)。
 しかしこちらはエンタテインメントだから、カフカのように停滞はせず西へ東へテンポ良く駆け回る。敵も味方もキャラ立ち充分。ミス・チャンは出番さほど多くもないのにラストで随分良い役だね(確かに真意を測りかねる……)。

No.1 6点 kanamori
(2010/08/11 18:01登録)
カフカの未発表原稿を巡る謀略系サスペンス。
著者お得意の一般人が巻き込まれる形の謀略小説で、序盤から謎の広げ方が巧みで、ヒトラーとの関係など壮大なスケールの物語を予感させましたが、結末はいささか尻すぼみの感じを受けます。
タイトルの”第四の敵”の正体は、時代性を感じさせるもののなかなか意外ではありました。

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