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ミステリの祭典

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このミステリーがすごい!2000年版
別冊宝島編集部編

作家 雑誌、年間ベスト、定期刊行物
出版日1999年12月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 3点 江守森江
(2010/05/21 23:49登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので一律の3点。
重点を置いて読んでいる国内ミステリーのランキングすら海外同様に眺めるだけの代物になっている(あと数年後には2chでの侃々諤々を眺めるネタ的存在になる)
やっとのこと「このミス」始まって以来初の既読な海外ランクイン作品が登場した。
もっとも、その「ボーン・コレクター」ですら地上波で観た映画に刺激されて数年前に読んだのだから、現代海外ミステリーに興味がないのは折り紙付きと云えるだろう。
国内も東野圭吾はノワールな「白夜行」で好みではないし、相性の悪い殊能「ハサミ男」も思いの外高評価だし、福井「亡国のイージス」も範疇外。
それでも今までは、ランク外に好きな作品があったが、それすら無い私的に不毛な年だったのかもしれない。
近々、本格ミステリ・ベスト10を(利用外図書館所収なので貸出で)おさらいして確認せねばなるまい。
「このミス」は、3月を過ぎれば最新号まで棚に貸出されず並んでいて、ある意味凄い!と思えてきた。

No.1 7点 Tetchy
(2010/05/21 22:48登録)
後に東野圭吾は『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞し、大ブレイクを起こし、現在最も売れるミステリ作家になっている。
個人的には私が中高生の時に女子がよく読んでいた赤川次郎現象に似ており、平成の中高生は東野作品を窓口にしてミステリの世界に入っていくことが多いのではないか?

つまらぬ余談はそれくらいにして、その東野氏が最も直木賞に近かったと思われる作品が本年度2位の『白夜行』。
未読だが、本の厚みと世評の高さからいって当事の彼の代表作となった作品である。
その『白夜行』をしりぞけて1位に輝いたのが天童氏の『永遠の仔』。
以下も福井晴敏の『亡国のイージス』、高見広春の『バトル・ロワイヤル』、奥田英朗の『最悪』、殊能将之の『ハサミ男』、本多孝好の『MISSING』と、力作、話題作の目白押し。
ミステリの定義は人それぞれだろうが、今振り返ると作品の質という意味ではこの年は大豊作だったのではないだろうか。

翻って海外はS・ハンター『極大射程』が1位で2位がJ・ディーヴァーの『ボーン・コレクター』、3位がT・H・クックの『夏草の記憶』と3強が続く。
ハンター、クックはそれぞれ2作が20位にランクインし、まさに最盛期だったといえよう。

この年から(?)2色刷りとなった本書は今までの『このミス』よりもレイアウト、構成に関して完成度はかなり向上したように思われ、東京創元社の『本格ミステリ・ベスト10』よりかはムックとして数段ミステリファンの心をくすぐる。
しかし、今年も「新し者好き」の傾向は顕著だ。
確かに良い作品は良いだろうが、もはやミステリとは呼び難い作品がランキング上位に来て貴重な枠を占有するのは何ともいえない悔しさがある。
あまりにも膨張するミステリ&エンタテインメントのジャンルに崩壊の危惧を覚えたのがこの年でもある。

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