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ミステリの祭典

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ベンハムの独楽

作家 小島達矢
出版日2010年01月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 YMY
(2020/08/29 11:21登録)
第5回新潮エンターテインメント大賞受賞作。九つの綺想による作品集。現実離れしたブラックな世界とトリッキーな仕掛けがうまく融合している物語や、青春小説風、幼い子供の文体による物語、SFショートショートとバラエティーに富んだ異色短編が並んでいるが、9作が揃うと単なるアイデア、ストーリーをこえた独自の世界の広がりが見える。そこが魅力の一冊。

No.1 4点 江守森江
(2010/05/18 10:27登録)
毎回違う一人の選考委員(今回は荻原浩)が受賞作を選ぶ新潮エンターテインメント大賞受賞作(所詮は数ある新人賞の一つ)
9話からなる連作短編集だが、微妙に登場人物がリンクするだけで各話それぞれ完結する。
連城から道尾へ続く反転ミステリの延長線上に位置するが、作者の年齢(22歳)と書きためられた初小説故か、ミステリではない単なる青春小説やショートショートも含まれる。
エンターテインメントな処女小説としては平凡で、帯で「恐るべき魔術」「騙されるな」と煽っている程の反転を魅せてくれる作品は一話もない。
帯の煽りから図らずも期待する連城や道尾レベルには、伏線の潜ませ方や納得の面で到底及ばない。
但し、幾つかの話で先々化ける可能性とセンスが伺えるので、青田買いして読んでみるのも悪くないかもしれない。
※叙述系(反転)ミステリの帯やポップの功罪。
功:驚いた・騙された・再読必須・等々で煽りブレイクしミステリの普及に貢献。
罪:構えて読む為に察する・過剰な期待と読後の落胆を齎す作品も多数。
ミステリ読者にとって誠に悩ましい!

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