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ミステリの祭典

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網にかかった男

作家 パトリック・クェンティン
出版日1966年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 7点 クリスティ再読
(2026/03/16 13:27登録)
いやこれ面白いよ。PQは気になっていたから、ちょっとやっていきたい。

「ヒルダよ眠れ」の逆パターンみたいな、夫にはヒステリックな心理戦を仕掛けてくるけど、外面は良妻、というあるある系の悪女が夫の旅行中に失踪。状況証拠から、夫が妻を殺してどこかに隠した、という疑惑が浮上。スモールタウンだから、村民は主人公をリンチしようと追及してくる...

こんな風に始まる。主人公は画家というのもあって、地域から浮いているんだね。だから都合のいい生贄に選ばれやすい。で、追われる主人公を助けてくれるのが、地域の子どもたち、というのが実に面白い。まさに主人公を追いかけている大人たちの子どもが、主人公を助けてくれる(笑)しかし、子どもでも自我がしっかりあるから、主人公が子どもたちとの関係をコントロールしないと、助けてもらえないどころか、かえって密告されてしまう。主人公が子どもの心理を洞察しつつ、子どもたちと駆け引きするあたりが実に面白い。そして、子どもたちの協力によって、真犯人を罠にかけて潔白を証明しようと...

しっかり者のお姉さんエミリー、その妹でワガママなエンジェル、ドラッグストアの息子で放任気味のバック、執事の息子のリロイ、良家の坊やでひ弱なティミー、と子どもたちの書き分けがナイス。とくにエミリー、いいなあ。事実上のヒロイン。
期待して読みだしたわけじゃなかったけど、いやいや面白い。

No.2 6点 kanamori
(2015/08/14 18:08登録)
都会での仕事を辞めて田舎で絵画の制作にとりくむジョン・ハミルトンだったが、虚栄心が強い妻リンダは、そんなジョンに対し強い不満を抱えていた。やがて、アル中のリンダは、夫による虐待という虚言を周りの人々に吹聴し、突如失踪してしまう--------。

晩年のパトQ(ウィーラー単独)がこだわり続けた”悪女もの”テーマのサスペンスです。
周りの住民のみならず、警察からも妻リンダ殺害の容疑をかけられたジョンは、隠れ場所に身を隠し容疑を晴らそうとするという、前半の展開は新味に乏しく、ありきたりのサスペンスという感は否めません。リンダの病的な悪女ぶりは強烈な印象を残しますが、主人公の心情描写は(ちょっと構図が似てなくもない)フィルポッツの「だれコマ」などと比べても、深みに欠けステロタイプの域に止まっています。
しかし、隠れ場所で身動きが出来ないジョンに代わって、知り合いの近所の子供たち5人を使い調査させるという、中盤以降の展開はちょっとユニークで面白いです。その中のひとりの幼女が、ある事に嫉妬してジョンの居所を密告しそうになるところなど、事情が理解できない子供ならではのサスペンスといえます。
謎解きやどんでん返しの妙味は乏しいものの、サスペンスとしてはまずまずの出来栄えと言えるのでは。

No.1 5点 こう
(2010/05/06 01:21登録)
 巻き込まれ型サスペンスの様な作品で既読の作者他作品とはちょっと毛色が違う内容でした。
 田舎で生活する画家が主人公でアルコール中毒で問題を抱えた妻が彼が不在の時失踪するが外面のいい夫人の失踪を警察、住人は彼の殺人と決めつけ、というサスペンスです。
 お得意の家族の悲劇を扱った割にはこの夫妻の描写がそれぞれ深みがなく夫人の失踪にもさほどひねりがなくまたこの手のサスペンスはむしろ他作家に類型作がたくさんあるのでパトリック・クェンティンの特長がでているとは言い難いです。ただいわゆる住民、警察の対応はおそろしいなあと感じる描写でサスペンスとしては十分かもしれません。
 真相が推理の余地のないのはいつものことです。 

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