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ミステリの祭典

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ハル

作家 瀬名秀明
出版日2005年10月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 Tetchy
(2010/04/30 23:14登録)
各短編、そして幕間で挿入される掌編「WASTELAND」、これらに共通する1つの軸とも云うべき存在がある。それは鉄腕アトムである。マンガの神様手塚治虫が創作した人型ロボットこそ、日本のロボットの研究の始まりであり、究極形であり、ロボット研究者が至る道だという風に瀬名氏は述べている。

2002年時点でのロボット工学の最新技術を取材し、それから類推される人々の生活への影響、意識の変化などをしっかり足が地に着いた物語を紡ぎ、ロボットを扱った作品にありがちな人間がロボットに支配される社会を描くデストピア型の作品を書いていないところが素晴らしい。しかしそれでもロボットが発展する上で直面するだろう云い様の無い畏怖を抱くこともきちんと描いている。

2002年に発表された当時、瀬名氏はこの頃既にロボットは人間生活に入り込み、無くてはならない物と想像していたようだが、2009年の今、残念ながらこの予見はまだ先のことになりそうだ。果たしてここに語られるような未来は来るのか、まだ先は見えないが、こんな未来はまんざら悪くないなぁと思わせる、心温まる作品群だ。

No.1 6点 vivi
(2010/04/30 19:10登録)
純然たるミステリとは言えないかもしれませんが、
ロボットを題材にすることで人間の「心」について考えていく、
知の極みのような作品です。

単純に、ロボットが好きな人も楽しめます。
一見理系作品ですけど、扱ってるのは文学の領域「人間」です。
瀬名氏は、文系的マインドの持ち主だと思います。

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