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ミステリの祭典

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悪党パーカー/殺人遊園地
悪党パーカー

作家 リチャード・スターク
出版日1977年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点
(2019/12/13 06:11登録)
 引退した犯罪プランナー・デントのプランに乗り、集金中の現金輸送車を襲撃したパーカー。首尾良く現金七万三千ドルをせしめたものの、パトカーの追跡に焦ったドライバーの運転ミスで車は横転し、相棒の俳優強盗グロフィールドは逮捕されてしまう。辛くも車からはい出たパーカーは近隣の遊園地〈ファン・アイランド〉に逃げ込むが、現場近くの駐車場には一部始終を眺めている者がいた。ギャングの幹部カリアートと用心棒ベニッジオ、それに彼から金を受け取っていた二人の警官たちだ。
 ラジオで事件を知ったカリアートは悪徳警官オハラに逃走を偽証させ、組織から応援を呼んで奪った金を横取りしようと目論む。だがパーカーは事前に施設のあちこちに罠を仕掛け、ギャングたちを向かえ撃つのだった。
 1970年発表のシリーズ第14作目。総決算ともいえる第16作「殺戮の月」の前日譚で、雪と氷に閉ざされたシーズンオフの遊園地を舞台に、一対多の銃撃戦が展開します。
 必殺の罠を仕掛けてカリアートを葬ったパーカーですが、オハラとの格闘で水中に転落し、体力を消耗してしまいます。しょっぱなにリーダーを失い出直しを図る悪徳警官とギャングたち。パーカーはその隙に冷水で震える身体を拭い、シャワーを浴びて体力を回復させます。ですが翌朝目を覚ました彼が見たのは、後継者を殺され怒りに震えるボスのロジーニと、倍以上に増えた武装ギャングたち。ロジーニはハンド・マイクで仇打ちを宣言しますが、当のパーカーは拳銃を失い丸腰状態。水の中に落ちた拍子に落としてしまったのでした。果たして彼はこの絶体絶命の窮地から抜け出せるのでしょうか? というお話。
 縦横無尽にギミックを用いた対決&脱出物。土地勘の無いパーカーですが、安全策を選んだカリアートがトラブルでもたつく間に管理事務所から地図を入手。施設内の全容を把握し万全の構えで待ち受けます。ポケットブックで170Pほどの短さながら叩き込まれたアイデアの数々はなかなかで、特にミラーハウスの仕掛けは考えてあります。パーカーが鏡に白丸を描きなぐっている時は、全く彼の意図が掴めませんでした。
 邦題はアレですが、遊園地で戦うというのはロマンというか童心をくすぐると言うか、夢のあるシチュエーションですね。電源を点けて施設を稼動させたり、ちゃんと意味もあるけど作者はノリノリでやってます。十数冊書いてまだこんな作品が出るんだから、愛読者がゴロゴロいるのも分かるわ。

No.1 6点 kanamori
(2010/05/24 22:03登録)
悪党パーカーシリーズの第14弾。
今作は屈指の異色作と言えると思います。地元ギャングに追われ休業中の遊園地に逃げ込んだパーカーひとりのサバイバル戦。
全編にわたって、複数の敵との壮絶な死闘が繰り広げられ、パーカーが一人また一人と倒していく描写は圧巻で、活劇サスペンスの秀作だと思います。

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