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ミステリの祭典

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飛車角歩殺人事件
プロ棋士・神永七段シリーズ

作家 本岡類
出版日1984年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2021/03/02 21:11登録)
(ネタバレなしです) トリック重視の本格派推理小説の書き手として登場し、後には社会派推理小説や非ミステリー作品へと幅を広げましたが2007年を最後に小説を長期間断筆して2023年に復活した本岡類(1951年生まれ)のデビュー作が1984年発表のプロ棋士・神永英介七段シリーズ第1作の本格派推理小説である本書です。作中で神永を1943年生まれで、1969年には26歳の若さで七段に昇段する才覚を見せながらその後は足踏みして将棋タイトルにも縁がないと紹介しています。「どこまで冗談でどこから本気かわからない」と評される飄々とした性格が災いしているのでしょうね。将棋界のビッグ・タイトルである名王戦の第一局の最中に舞台の近くで轢き逃げ殺人があり、次の悲劇を予告するような脅迫状が送られてくるプロットです。「棋士ほど探偵に向いている人種はいない」と豪語する神永が結構早い段階で容疑者を絞り込みますが、思わぬ展開でアリバイ崩しの謎解きに移行します。そのアリバイ崩しに意外な人物が貢献して驚かされ、さらにどんでん返しも用意されていますが神永の説明はもしやと思いついた仮説が当たったにすぎず、謎解き伏線が十分でないように思えます。まずトリック(失火、爆殺、アリバイなど色々)ありきで、プロットはつぎはぎだらけの印象です。

No.1 5点 kanamori
(2010/04/08 18:20登録)
傍若無人のプロ棋士・神永七段が探偵役を務めるシリーズ第1弾で、著者の長編本格ミステリの第1作。
もともと、オール読物推理小説新人賞を将棋ミステリで受賞しているくらいですから、この世界に詳しいのでしょうが、主人公の造形を含めて棋界の人間関係などまずまず楽しめました。肝心のミステリの部分は、既読感のあるタイトル戦に絡む連続殺人を描いていて、物理的殺人トリックとアリバイ工作もいまいちです。まだ手探りのミステリ創作といったところでしょうか。

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