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ミステリの祭典

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約束の地
私立探偵スペンサー

作家 ロバート・B・パーカー
出版日1978年08月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点
(2020/09/18 22:41登録)
エドガー賞を受賞したホークが初登場する本作は、これまで読んできた初期パーカー4作の中でも最も説教くさい作品でした。スペンサーは元来おしゃべりなわけですが、依頼人やその妻(失踪していたのを、スペンサーが簡単に見つけ出します)に対して、あれこれアドバイスしていく。まあ適切な助言とは言えるのですが、それにしても小うるさい。
「あなたは手荒い人のように見えるけど、手荒いことはしない人だと思うわ」と言われて、「タフながら、いとも優しい」と返しているのは苦笑ものですが、明らかなパクリ(引用?)を平然と書いちゃうのがパーカーなんでしょう。そういった口調がさほど気にならなければ、ストーリーは最も面白くできていると思いました。
それでも、同世代の他のハードボイルド系作家に比べるとプロットはごくシンプルで、スペンサーの計略は、失敗するのではという危機感もなく、すんなり成功してしまいます。

No.2 5点
(2010/10/22 13:57登録)
「愛だ。きみたちの間には愛がある」
探偵がこんな気障なセリフを吐くミステリーはちょっと遠慮したいな、というのが率直な感想。洒落た会話とはとても言えない、歯が浮いた、虫唾が走りそうな会話ばかりで、それが鼻に付きます。洋画だったら気にならないけど活字だとイヤですね。miniさんがおっしゃるように好き嫌いは分かれるはず。いや、日本人なら嫌う人のほうが多いと思います。
それに話も出来すぎです。スペンサーと、恋人のスーザンと、依頼人の夫婦だけがなぜ、そんなに有利に事を運べるの?MWAの最優秀長編賞をとったそうですが信じられません。
主人公と恋人の日常生活を描きすぎなのも欠点かな。ミステリーにはほとんど関係ないですしね。でもおそらく、この書き方こそがこの作家の特徴(人気の秘密か?)なんでしょう。
こんな印象ですが、読みやすさだけは賞賛に値します(村上憲郎氏がパーカー作品は文章が短くわかりやすいので、原書で読んで英語を勉強せよって言ってたことが理解できます)。
かなり長いシリーズでもあるし、気になる作風でもあるので、読みやすさに免じて、もうすこし読んでみようかな。
こうやって読み続けてファンになってしまうのでしょうか(笑)。

No.1 5点 mini
(2010/03/29 10:23登録)
発売中の早川ミステリマガジン5月号の特集は、”追悼特集=ロバート・B・パーカーに献杯”

最近パーカー、フランシスと相次いで巨匠が亡くなったが、偶然にも両作家には共通点があって、翻訳者が菊池光なのだ
菊池光のフランシスの訳にはいくつか問題があるがパーカーには合ってる気がする
「約束の地」はMWA賞を受賞した初期の代表作で、夫婦間の絆というテーマがこってりと描かれ、受賞理由となったのだろう
さらに「失投」では出番が少なかった恋人スーザンとの男女間の問題についての饒舌な会話もたっぷりで、読者側の好き嫌いが分かれるところだ
まあ良くも悪くもパーカーの特徴が十二分に出ており、代表作には相応しいのだが、パーカー入門にはあっさりした「失投」から入るほうがベターだと思う

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