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ミステリの祭典

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逃がれの街

作家 北方謙三
出版日1982年04月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 斎藤警部
(2018/12/05 23:48登録)
「心配すんな、俺の足のところさ。」 “足のさきで、紙袋に触れて音をさせた。”

ヒロシ(子供)の正体は誰なんだ? 親子の問題ってやつが一つ前面に押し出される物語だけに気になって仕方が無い。それと、主人公は何故そこまで敵を殺すことに抵抗が薄いのか(隠された過去に何が?)。。なんて考えながら読んでました。。 スリルと感動を求めるべき一読者の立場を忘れて、そんなものをかなぐり棄ててもむしろ主人公たちの生活の平静だけを本気で求めてしまう。なんて高圧力のリアリティだ!  ラストシーン、一面の雪のイメージのせいか不思議と静謐な感覚なのが大いに救い。 だがこの結末は決してミステリ流儀ではないな。 エピローグで”その人物”ばかり掘り返すのは不満。むしろあの”おっさん”の現状と行く先に光を当てて欲しかった(過去はそっとしといて)。 でもいいさ。 痛切人情と冒険持続で読ませまくるサスペンス小説の秀作でありましょう。 8点に大きく迫る7点を。

最後に、kanamoriさん仰るように「初秋」に感動する人なら本作にも鉄板の感動要素があると思います。(かの作同様、本作もハードボイルド・ミステリとは違いますな)

No.1 8点 kanamori
(2010/03/10 18:21登録)
今や忘れられた感のある北方ハードボイルド。男の矜持とか生きざまとかは当世流行らないんだろうなあ。
一般的には「眠りなき夜」「檻」とかが代表作なんでしょうが、マイ・フェイバリットはコレです。パーカー「初秋」に感動した人なんかは、ド真ん中の逸品だと思います。

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