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ミステリの祭典

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天を映す早瀬
リディア・チン&ビル・スミス

作家 S・J・ローザン
出版日2006年11月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 メルカトル
(2021/09/24 23:00登録)
ニューヨークの私立探偵リディアと相棒のビルは、仕事で香港を訪れていた。依頼されたのは、形見の宝石を故人の孫である少年に渡すだけの簡単な仕事。初めての海外に、リディアは興奮を隠せない。だが、たどり着いた少年の家は何者かに荒らされ、少年は誘拐されていた。銃も持てず、探偵免許も通用しない異国の地で、ふたりが巻きこまれた事件の結末は?人気シリーズ第7弾。
『BOOK』データベースより。

チャーハンが食べたくなります。それにしても何故家で作るチャーハンはどう料理しても店の味が出せないんでしょう。冷凍食品も色々試しましたが、どれも本格的なものではなく。「家でも喰えます」ってCMで言ってるのもやっぱり店とは違います。という訳で、本作余計な情景描写や説明文が多すぎて、いささか間延びした感が否めません。それらの描写が私の心には響かず、印象に残っているのは先に述べた食事シーンのみでした。
さてこれは一般的な誘拐物とは違って、緊迫感が圧倒的に足りない感じがします。そして明らかになる真相には拍子抜けでした。最初はなかなか面白そうな謎が提示されていて、良い感じかと思いきや先細りしていくストーリーにはがっかりです。

一応ハードボイルドに属するらしいですが、かなりソフトですね。今回はリディアが主役の為余計そう感じるのかも知れませんが。もうこのシリーズはいいかな。でも『チャイナタウン』だけは購入済み、どうしましょう。このまま読まずにブックオフ行きですかね。

No.1 8点
(2015/09/23 21:47登録)
2002年度のシェイマス賞を受賞したこのシーラ・ジュディス・ローザンによるリディア・チンとビル・スミスのコンビ探偵シリーズ第7作の舞台は香港です。今回リディア(中国名のリン・ワンジュがよく使われます)の一人称形式なのは、順番だけでなく舞台からしても当然といったところでしょうか。原題は “Reflecting The Sky”、最初の方で、占い師の「早瀬は天を映さない」という言葉が出てきます。
この作家を読むのは初めてなのですが、これは気に入りました。1ページ目から、二人のかけ合いには微笑を誘われます。事件そのものも、誘拐に対する別の人間からの全く異なる身代金請求という、なかなか魅力的な謎をはらんでいます。
リディア視点の作品だからでしょうか、さほどハードボイルドな感じはしませんが、私立探偵免許が無意味な外国での話であっても、私立探偵小説というジャンルならばあてはまります。

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