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ミステリの祭典

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グルメ警部キュッパー

作家 フランク・シェッツィング
出版日2008年02月
平均点4.00点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2016/05/27 19:49登録)
(ネタバレなしです) 1996年発表の本書のドイツ語原題は直訳すると「殺人の渇望」、ランダムハウス講談社文庫版のふざけたような日本語タイトルとはイメージが随分違います。確かにユーモアは豊富でしかも強烈ですが、一方でキュッパーが悩んだり怒ったりする場面も挿入して適度に引き締めています。ジャンル分けが難しい作品で、警察小説としてはキュッパーの所属するケルン警察がほとんど描かれていないし、本格派推理小説としては(キュッパーが目撃した)決め手となる手掛かりをフェアに描写していないのが不満です。まああの手掛かりは伏線としてさりげなく描くのが極めて難しい手掛かりではあるのですが。ストーリーテリングは優秀で、個性豊かな人物のやり取りやサスペンスたっぷりの終盤など読みどころはたっぷりです。

No.1 4点 Tetchy
(2010/03/02 22:13登録)
どうもこの作家の文章は私には合わないようだ。
一番感じるのは、本書で作者が前作にも増して散りばめているウィットやユーモアがこちらに頭に浸透してこない事。そのため、各章の最後に書かれた締めの台詞が私にはビシッと決まらず、頭に「?」が浮かんだり、もしくは「ふ~ん」という程度で終ってしまう。

「グルメ警部」と謳われているように、主人公キュッパーは美味い物に目がないが、この手の作品にありがちな料理に関する薀蓄が展開されるわけでもないため、際立って美食家であるという印象は受けない。むしろ、普通に美味い物が好きで料理も出来る男が警部だったというのが正確だろう。

しかしこの作者はきちんとクライマックスシーンをアクションで見せるところに感心する。動物園を舞台に追跡劇とライオンの柵の中での攻防ありと、サービス満点だ。広告業界で働いた経歴を持つ作者だから、こういったお客に“魅せる”手法を常に意識しているのだろう。

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