殺人の詩学 ケイト・ファンスラー教授 |
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作家 | アマンダ・クロス |
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出版日 | 1996年04月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | nukkam | |
(2016/08/16 15:28登録) (ネタバレなしです) 1970年発表のケイト・ファンスラーシリーズ第3作で、フェミニズム(男女平等主義)をまだそれほど前面に出していない分、一般受けしやすい本格派推理小説になっています。とはいえ(訳のせいかもしれませんが)ついに結婚を決意したケイトとリードの会話ぐらいはもう少し情感をこめてもいいのではと思いますが(ちょっとドライ過ぎです)。ミステリー的には犯人のちょっとしたミスに気づくという古典的な探偵法は気が利いていますが決定的手掛かりが足りないように思えます。前作と同じく名探偵役はケイトでなくリードが務めているのも微妙に物足りません。 |
No.1 | 5点 | 空 | |
(2011/08/11 09:44登録) 解説によると、サラ・パレツキーはケイト・ファンスラー教授を「私たちが待ち続けていたヒロイン」と呼んだそうです。しかし本作を読んでみると、ヴィクのような意味でのヒロインという感じは受けませんでした。 女流作家による女性探偵と言えば、当然ミス・マープルだってそうなんですが、中年前の魅力的な女性となると、草分け的存在なんでしょうね。しかし、本作のケイトは、そんなに名探偵ぶりを発揮するわけではありません。半分ぐらいで起こる殺人事件の真相について推理を披露するのは、むしろ彼女の婚約者アマースト検事補です。 ただ、その推理の唯一の根拠となる犯人の不用意な一言は、指摘されてもどこに書かれていたのかさっぱり覚えていませんでした。また殺人事件の扱い自体も、この小説の中での比重はかなり軽目です。それよりも大学の社会人学部が存続できるかどうかという問題の方が中心で、ケイトがたずさわっているのもその問題です。 シムノン好きな自分だけに、ミステリ度の低い作品も普通なら大いに歓迎するところですが、パズラー的な殺人だけに、かえって物足らなさを覚えてしまいました。 |