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ミステリの祭典

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虚栄は死なず

作家 ルース・レンデル
出版日1988年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 HORNET
(2022/08/09 20:40登録)
 特別な誰かでなくとも、誰にもありそうで、人には言えない、女性の疑心暗鬼な心を描いたところはいかにも作者らしくて〇。ノンシリーズ2作目ということで、(それを聞くと)まだまだ粗削りな印象にはなるものの、読むうえで苦にはならない。
 サスペンスに分類されてはいるが、主人公アリスが気にかけていた女性・ネスタ失踪の真相を追うという体から見れば、本格推理ともいえると思う。38歳という年齢で、9歳年下の男性と結婚した裕福なアリスが(現在の感覚に照らせばさほど異質なことでもないが)、次第に自分の世評に気付き、不安にさいなまれていく様相は作者の才の片鱗を感じさせる。
 「いかにも…」な路線でラストに到達し「なんだ、予想通りだな」と思わせておいてからのひっくり返し方はなかなか見事で、J.ディーヴァーばりのどんでん返し感を自分は味わうことができた。
 ただ自分の場合、レンデルのノンシリースに期待するのは病的な心の闇(?)というところがあるので(「わが目の悪魔」のような)、本作のような平和的解決(結局何も犯罪は起きていない)の読後感は満足と不完全燃焼が入り混じった感じだった。

No.1 6点 Tetchy
(2009/09/12 00:35登録)
レンデルの数あるヴァリエーションの内、38歳で結婚した女性を主人公にしたことから、所謂世間知らずゆえの犯行を描いた物かと思ったがさにあらず、ただ今回は、作者の手玉があまりに見え見えで、ある人物のある事実はサスペンスの牽引力としては弱かった。
ちらっとあとがきを見ると、本書は1965年作のノン・シリーズ2作目とのこと。「レンデル神話」のまだ草創期の作品なのだから無理もないか。

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