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ミステリの祭典

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死を誘う暗号

作家 ルース・レンデル
出版日1992年10月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 HORNET
(2022/08/13 17:05登録)
 園芸店に勤めるジョンは、妻が昔婚約していた男と出て行ってしまい、暗澹たる気持ちで毎日を過ごしていた。妻をあきらめることができず、男と同棲している家を見にいっては悶々としていたジョンだったが、あるときその途上で偶然、陸橋の柱に貼られた「暗号文」を見つける。することがない毎日の慰みに、暗号文解読を試みるジョンだったが、いったい誰が、どんな組織がやっていることなのかさっぱりわからない。実はそれは、パブリックスクールに通う生徒たちが「スパイ活動」と称して愉しんでいる「ごっこ遊び」だったのだが―

 まったく関係のなさそうな、妻に逃げられた男の話と、少年たちのスパイ遊びの話。かなり長くそれぞれが並行して進行していくのだが、それぞれに面白い展開である。もうとうの昔に相手の心は離れてしまっているのに、いつまでも食い下がろうとする男の未練たらしさの描き方は、とてもレンデルらしい。
 二つの話がどのようにスパークするのか、かなりじらされるが、まずまずのオチではある。ただ、ちょっと題名がラストを暗示しすぎかとは思うが。

No.1 7点 Tetchy
(2009/08/31 23:26登録)
いやいや、ルース・レンデルがこんな小説を書くとは、ねぇ。

2つの物語のうち、一方は振られ男のうじうじした日常の根暗な生活が淡々と綴られるのはいつものレンデル調なのだが、もう一方はスパイごっこに興じる少年たちの、云わば青春物語だなんて!!
これがもう、おいらの少年心をくすぐるから、ジョンの話が鬱陶しくて、却ってそれが俺にとっては仇になった。
そして、2つの物語がハッピーエンドなのもまたレンデルらしくなく珍しい。

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