殺人にうってつけの日 |
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作家 | ブライアン・フリーマントル |
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出版日 | 2007年10月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 3点 | あびびび | |
(2011/03/28 13:46登録) 元CIAにいた男が、逆スパイをした罪で収監される。その男は自分を売った元妻とKGBの男(その男もソ連を売った)が夫婦として生活していることが許せず、復讐を誓う。 その設定に最初はわくわくしたが、途中から手が込みすぎてなかなか物語が進行せず、放り出したい気持になった。 |
No.1 | 9点 | Tetchy | |
(2009/08/12 19:59登録) 相手に嵌められ、妻まで奪われて刑務所に入れられた男が出所を機に全てを取り戻すため、復讐を企む。今まで何度も使い古されたプロットであるが、そこはフリーマントル、普通の設定にしない。 なぜなら復讐者ジャック・メイスンこそ、元妻の安定した生活を脅かす悪の存在だからだ。彼はCIA勤務中はロシアに情報を流す売国奴であり、私生活では女を買うのは勿論の事、公然と浮気をし、妻に暴力を振るっていた最低の男なのだ。この通常ならば主人公の宿敵となるべく恐怖の存在を逆に主人公として設定したところにフリーマントルの作家としての一日の長がある。 本書に込められているメッセージとは結局復讐は何も生み出さないということだ。 最近のフリーマントルは英国人特有の皮肉溢れる結末が多く、本書もその例に洩れない。私は読後のカタルシス、特に爽快感を買う方なので、それ故、本書は面白いが、傑作とまでは賞賛できないという結論である。 またアメリカの証人保護プログラムに警鐘を鳴らしている。結局完璧な制度というのはないのだということを痛感させられる。 シンプルながら、色んな内容を包含した作品だし、逆に物語構成がシンプルなだけに彼の本を初めて読む人にはまさに“うってつけの”一冊ではないだろうか。 |