home

ミステリの祭典

login
追われる男

作家 エルモア・レナード
出版日1995年06月
平均点8.00点
書評数2人

No.2 7点 tider-tiger
(2018/12/22 10:45登録)
~面倒に巻き込まれて高飛びの必要に迫られたアメリカ人のアル・ローゼン。彼が選んだ潜伏先はイスラエル。金には不自由していないし、ときおり女性観光客を引っ掛けたりもして悲壮感はまるでなし。
ところが、女性を連れ込んだホテルで火災発生、避難誘導に大活躍したローゼンはアメリカの新聞に写真入りで紹介されてしまい、優雅な逃亡生活は終わった。

1977年アメリカ作品。
プロットはごくごくシンプル。元々は西部劇を書いていた人だが(未読)、なんとなく本作ではその流れを引き摺っているような印象がある。悪い奴らを町から追い出そうとした牧場主が逆に命を狙われる。そこにふらりと現れたガンマンと協力して……ここに逃亡劇という要素を加味したような感じ。ただし捻りは加えてある。
説明を極力排して会話と描写で物語を引っ張っていく。もちろん会話はうまい。また、場面転換による省略に独特なものを感じる(登場人物のこれからの行動を示唆しておいて場面転換、場面転換後、示唆された行動はすでになされている)。
命を賭してローゼンを手助けしてくれる人物がいるのだが、彼がどうしてそこまでローゼンに尽くすのかは遠回しにしか書かれていない。その人物の人生観とでもいうべきものなのだが、ここがどうにも納得できない方がいるかもしれない。
エルモア・レナードとしてはやや変化球気味の作品だが、読み易くて楽しいので最初に読むレナード作品としてお薦めしたい一冊。

クライムノベルの秀作を多く生み出したとされる作家だが、犯罪者をことさら特別視しないスタンスを感じる。雑貨屋を営む男、恋をする男、猫好きな男、犯罪をする男、みんな同列に描かれて、そうした中で活き活きと軽妙な人物造型がなされている。 
日本ではさほど読まれていなくて、遅咲きで、文章や筋の運びが滑らかで、作品はいかにもアメリカ的でとジョン・D・マクドナルドに通ずるところがいくつかあるが、作品の手触りはまるで異なる。(二人とももちろんセンスと技術を兼ね備えた作家だとは思うが)ジョンDマックは技術先行型、レナードはセンス先行型という印象がある。

No.1 9点 Tetchy
(2009/08/05 23:21登録)
舞台はイスラエルとレナード作品の中では異色。
しかし今回は題名が示すように、追われる男と追う輩の追跡劇。
本書もレナード初期の作品であり、今の作品と比べると構成はシンプル。それ故に今の作品には無い面白さを兼ね備えている。
特に今回は主人公デイヴィスがカッコイイ!
最後のセリフも見事決まった!

2レコード表示中です 書評