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ミステリの祭典

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ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件

作家 橋本治
出版日1983年08月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2023/02/25 22:57登録)
長らく入手困難だった橋本治による幻の傑作が遂に復刊!!

僕、分ったんです。人を探るということは、実は、それと同じ分だけ、自分自身を探るということが必要なんだということに。
これが僕の探偵法、だったのです――
1980年代、東京――東大出のイラストレーター・田原高太郎が、鬼頭家で起こった殺人事件の謎を解く、橋本治による青春ミステリーの傑作!
Amazon内容紹介より。

これはアンチミステリの亜種でしょうかね。
同じ事を言葉を変えて二度三度繰り返し、しつこく念を押す表現方法が特徴的。くどいとも言います。加えて一章丸ごと使って私小説を書いてみたり、余分な東京の地下鉄の路線図を挿したり、色々捏ねくり回している印象が強いです。殺人事件自体は至ってシンプルで、謎めいたところもありますがそれほど魅力的な物ではありません。

後半で漸く主人公と刑事と下宿の私立の大学生による推理合戦が始まると思いきや、単なる捜査会議に終わってしまっているのは残念な限りでした。つまり、あらゆる可能性を論っているだけで、特に推理している訳ではなく、その辺りはアンチミステリとしてやはり弱いと感じました。もっと多重推理をやってくれないとダメですよ。せっかく盛り上がってきたと思ったら、脱線して興を削がれます。まあ読み易くはあったので、長尺があまり気になりませんでした。それが救いでしょう。
動機は分かったような分からない様な、ちょっとモヤモヤした読後感でした。『獄門島』+『犬神家の一族』の趣向は面白かったですけどね。

No.1 4点 江守森江
(2009/08/08 00:47登録)
「桃尻娘」で一世を風靡した作者が手掛けた青春ミステリ。
書かれた時代そのままに昭和後半の高度経済成長期を舞台にし、当時ブームだった横溝作品をパロディ化した。
推理会議や「虚無への供物」の引用、更には解決過程から(作者の思惑とは関係なく)まさに“アンチ”ミステリなので、見かけから正統派本格を期待すると肩すかしをくらう。
色々な試行を詰め込み過ぎ、クドくて纏まりに欠ける割にサラッと読めてしまう。
その辺りに、他分野で人気を得た作者の実力の片鱗が垣間見える。

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