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ミステリの祭典

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夜の光

作家 坂木司
出版日2008年10月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点
(2024/03/30 11:25登録)
主たる登場人物はジョー、ゲージ、ギィ、ブッチの天文部の男女4人。
スパイ風・日常の謎風・青春ミステリー連作短編全5編(どこがスパイ風やねん)。
4編は天文部メンバー各自の視点。最後の1編も個人の視点だが、後日譚的な内容。

暇つぶしに軽く読むつもりだったが、2編目から面白さに目覚めた。
4人の天文部活動における日常の謎と、視点人物のプライベート(どちらかというと家庭的な悩み)とが、各編で語られる。
前者は大好きな分野で、むちゃな推理満載だが、これがおもしろい。
後者はサブストーリーっぽいが、けっこう密度が濃く、これもまたおもしろい。
5編目だけが、なんでミステリーではないのか。きれいにまとめたかったのだろうか。残念な気もするが、青春連作小説としては、こんな感じの最終編がいいのかも。

もっと今風なのかと想像していたが、昭和生まれのおじさんでも無理なく読める青春モノだった。郷愁を覚えるほどではなかったですが。

No.1 7点
(2020/11/01 23:05登録)
高校で天文部に所属する4人の生徒たちそれぞれの視点から一人称形式で書かれた連作短編集です。でも5編あるので、最後はひょっとしたら顧問の田代先生の話かとも思ったのですが、違っていました。
第1話『季節外れの光』は「日常の謎」系らしい作品で、続く『スペシャル』も、そんな面倒なことするかと思える暗号小説ですが、第3話以降は謎解き要素がだんだん希薄になってきて、最後の『それだけのこと』は全くミステリではありません。そもそも第1話から高校生の悩みがていねいに描かれていたのですが、各人の家庭問題と4人の奇妙な絆こそが、この連作のテーマであったことが、最後には明瞭に伝わってくる構成になっています。評価はそんな小説としてのもので、ジャンルも青春ミステリにしました。
謎解き的には、第3話『片道切符のハニー』が、シンプルながら悪くないと思いました。

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