天空高事件 放課後探偵とサツジン連鎖 〈迷探偵黒彦〉シリーズ |
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作家 | 椙本孝思 |
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出版日 | 2009年03月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | |
(2020/10/11 04:02登録) (ネタバレなし) 夏休み中に、悪夢のごとき「魔神館殺人事件」に関わった高校生・白鷹黒彦。二学期を迎えた彼は母校の天空学園高等部に登校するが、そこで彼を待っていたのは、同じ二年B組の女子生徒・雛菊雪子が校舎から転落して死亡したという悲報だった。雪子が参加していた「天空高校探偵部」の部長・夢野姫子によって、強引に同サークルに入会させられた黒彦。彼は部員仲間の女子たちと、雪子の転落死が他殺という可能性を審議するが、不穏な空気の校内ではさらに新たな惨劇が発生する。そんななかで黒彦が再会したのは、魔神館事件で関わりあった天才青年・犬神清彦とその妹の中学生・果菜(はてな)だった。 白鷹黒彦&犬神兄妹シリーズの第二弾。評者は今回、本サイトに現状で登録のない2012年の角川文庫版(単行本から一部、改訂らしい)で読了。 「館もの」の前作を受けて、今回はガラリと趣向を変えた青春学園ミステリ。 綾辻の「館シリーズ」へのオマージュか<物故した異才建築家の遺した、特殊な建築物のなかでの殺人>という設定が今回も用意され、その流れで、物語の舞台となる天空高校に伝えられる「学校怪談」もミステリの重要な? 一パーツとなっている。 ただしある種の破格さで勝負した前作と比べて、今回は全体が地味でオーソドックスな学園殺人ミステリ仕上げ。総体的には、どっかで見たような類型的な作品となった。 500ページ近い紙幅の厚さは、文章の平明さと物語世界の居心地の良さでまあ問題なく、しのげる。 が、一方でミステリとしては最後の真相を明かされて、うーん、この解決でどうなんだろ? と思いたくなるような部分も無きにしも非ず。特に(中略)の殺人に至る流れは、あまりに説得力がないし、そもそもストーリーの組み立てにも疑問が生じる。あと文庫の巻頭の、主要登場人物一覧ですが(以下略)。 読んでいる間はそれなりに楽しかった。が、最後まで読了して残念ながら、今回は出来の悪さが気になってしまう。 シリーズの残り二冊で挽回してくれることを、期待したい。 |