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ミステリの祭典

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『禿鷹城(ガイエルスブルク)』の惨劇

作家 高柳芳夫
出版日1979年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 kanamori
(2010/05/25 20:20登録)
ドイツの古城を改築したホテルでの密室殺人といったコード型ミステリの趣向はいいんですが、登場する人物が類型的で魅力がなく、せっかくの舞台背景をいかせきれていない感じです。
密室トリックは複雑で面白かったですが、この年の乱歩賞受賞作「アルキメデスは手を汚さない」と比べて、斬新さに欠けるのは否めないです。

No.1 5点 nukkam
(2009/05/07 12:34登録)
(ネタバレなしです) 高柳芳夫(1931年生まれ)は外交官出身という珍しい経歴のミステリー作家で、1974年にデビュー作の本書を発表した時はまだ現役外交官だったそうです。舞台をヨーロッパにして(但し登場人物は日本人が圧倒的に多いです)後半には古城ホテルを舞台にしていますがロマンチックな部分は皆無に近く、どちらかといえば冷たい打算的な世界が描かれています。本格派推理小説ですがフーダニット(犯人当て)よりもハウダニット(犯行手段当て)の方に力を入れているのが特徴です。不可能犯罪の謎の魅力は十分ですが肝心のトリックは力業だけど小粒といったところでしょうか。大物政治家や企業の利益が背景に見え隠れするプロットは森村誠一を彷彿させますが森村よりは読者が推理に参加する気分を味わえる点は評価したいと思います。

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