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ミステリの祭典

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金魚の眼が光る
探偵・呪師霊太郎 改題「灰色の柩」

作家 山田正紀
出版日1990年09月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2023/06/22 12:17登録)
 どうも整合性に欠ける気がするなぁ。
 犯人に対して、必死で時代に抗うが故の犯罪、みたいな或る種の情状酌量が感じられる書き方だけれど、東京で脅迫の共犯者を殺したのも同じ人だよね。こっちの件はあくまで保身だし冷酷でひどいと思う。
 出版社に対して脅迫状を送ったらそこに親戚筋が勤めていた、と言う偶然もどうなの。

 一方、柳河での一連の事件。戦争の足音を背景としつつも、靄のかかったような幻想味に彩られ、それこそ北原白秋と言うフィルター越しに見た世界のよう。リアリティにこだわらずまぁいいかと受け入れたい気分なのである。東京編は無かったことにしよう。

No.1 6点 nukkam
(2011/01/11 17:13登録)
(ネタバレなしです) 1990年発表の本格派推理小説で後年に「灰色の柩」と改題されました。全体的に叙情性を意識したような作風で、時にそれがサスペンスを犠牲にしていますが1930年代という作中の時代性描写には効果的だったと思います。ヒロイン役を設定したことにより探偵役の呪師霊太郎(しゅしれいたろう)の捜査の全てが読者に提示されるプロットでなくなりましたが、物語の幻想性の演出面でのメリットの方が大きくなったように思います。

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