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ミステリの祭典

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雪どけの死体

作家 ロバート・バーナード
出版日1985年05月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2017/12/05 08:43登録)
(ネタバレなしです) 1980年発表の本格派推理小説で舞台はノルウェーの北極圏にある田舎町トロムソです。バーナード自身ノルウェーで約10年間暮らしたことがあり最初のミステリー作品もそこで書かれたようです。12月のトロムソに逗留していた外国人が失踪し、雪解けを迎えた3月に死体となって発見されます。捜査担当のファーゲルモ警部が被害者の素性や彼と接触のあった人物を地道に調べていくプロットで盛り上がりに乏しいです。第14章での推理説明も謎解き伏線を十分に回収しているとは思えず、ファーゲルモ自身が「おそまつな証拠だ。じつに心もとない暗示だけしかない」と認めるぐらいのレベルなのも物足りなさを感じます。

No.2 6点 kanamori
(2011/12/05 18:11登録)
舞台はノルウェー北部の町トロムソ。雪の下から発見された旅行者らしき英国青年の殺害死体を巡る非シリーズもののミステリで、第1章が「真昼の黄昏」、最終章が「真夜中の太陽」と題されていて、この北極圏の町の季節の変遷を章題で表わすところがニクイです。
これまで読んだバーナード作品は家庭内の事件を扱ったものばかりでしたが、本書は、チャールズ・ブラウンと名乗っていた被害者の足跡をたどるファーゲルモ警部の捜査を中心に展開されていて、警察小説の趣きが強い。ノルウェー国内ならず英国まで飛んで証言を得る関係者一人一人のキャラクターがまた例によって変に個性的で、これがバーナードの一番の特徴でしょう。捜査過程も面白いが、終盤の真犯人との対峙、心理戦もなかなかスリリングでした。

No.1 6点 mini
(2011/03/07 09:55登録)
初期の非シリーズ作品で、舞台がノルウェーという異色作である
バーナードは一時期ノルウェーに大学の教師として赴任していた事があり、その頃の経験が活かされているのだろう
相変わらずのバーナードらしいシニカルな描写は健在で、英国とノルウェーとの文化風俗の違いもあるのか、皮肉の度合いでは「不肖の息子」をも上回っている
またマルティン・ベック風な中盤も北欧の雰囲気にマッチしているし、地味な警察捜査小説好みな私に合っている
ただねぇ、たしかに敬愛するクリスティを髣髴とさせる謎解き面はバーナードらしいのだが、ちょっと意外な真犯人などが空回りしてる印象が有り、しかも狙い過ぎな為に私は中途で気付いちゃったし、真相解明の切れ味ももう一つ
やはりパズラー本格としては初期の代表作「不肖の息子」には一歩譲るかなぁ

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