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ミステリの祭典

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闇匣

作家 黒田研二
出版日2002年12月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2024/06/26 22:33登録)
「密室本」だからと言って密室殺人じゃなくても良いんだと、初めて思わせてくれた作品。確かに黒田研二と密室って合わない感じがしますからね。
中盤まではよくありがちな、目覚めると暗闇の中に閉じ込められ、手足を椅子にきつく縛られていたというシチュエーションで、非常にサスペンスが効いています。登場人物も五人だけという限られた条件の中の為、閉塞感が半端ないです。誰が誰を狙っていたのか、誰と誰がどういった好悪を抱いていたのか、最後まで想像が付きません。

ところが後半はガチガチの本格ミステリに様変わりし、伏線を回収しアリバイトリックなどが弄されます。前半のサスペンスがここで生きてきます。まあ異色の作品であることは間違いないと思います。私が今まで読んで来た黒田作品の中では三本の指に入るでしょう。評判の良い『嘘つきパズル』を読むのが楽しみになりました。この人の作品はどれもこれも王道から少しずらした様なものが殆どで、読む度に違った面白さを提供してくれます。そうした作家がいても良いんじゃないかと思わせてくれるユニークな存在で、意外と貴重な逸材かも知れませんね。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2015/02/10 07:55登録)
裏表紙より~『すべてが不自然だ。すべてがフィクションに思えてならない。すべてが作り物めいている。しかし・・・。男は、真の闇で満たされた部屋の中、体を縛られ身動きひとつできずにいた。男を尋問するのは、これまで蔑み続けてきた友の声。妹の死、元恋人の死…。真相は誰の胸の中に? 闇が、心の闇を解き明かす!』~

プロット、真相は好みで高評価!。しかし、中編でサラッとしており、深みを感じられなかったことが残念な点です。短編をほとんど読まない理由と同じですね。岡嶋二人氏「そして扉が閉ざされた」有栖川有栖氏「月光ゲーム」をミックスしたような内容ですが、真相(動機)は一捻りあります。クリスティ氏の作品にありそうな気がしていますが、まだ出会えていません(笑)。後発では石持浅海氏の作品にありましたが・・・。ジャンルはサスペンスに入れましたが、本格色も強いと思います。監禁ものの作品は、「そして扉・・・」「黙の部屋」「ミザリー」「ソフィー」「体験のあと」「その女アレックス」「本作」ときましたので、次は浦賀和宏氏の「眠りの牢獄」です。

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