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ミステリの祭典

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男爵最後の事件
霞田兄妹シリーズ

作家 太田忠司
出版日2009年02月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2021/09/26 23:25登録)
〈この中の誰かが私を殺す——〉天才的推理で知られる“男爵”こと桐原は主催の晩餐会でそう宣告した。招かれた客は作家探偵霞田志郎をはじめとする六人の男女。彼らには男爵を殺す「動機」があった。翌日、招待客の一人が毒物で急死。他殺なのか?冷徹な頭脳が何かを企んでいるのか? やがて、数日前に霞田に持ち込まれた不審な火災と桐原を繋ぐ線が浮上した時、悪魔のごとき計画が明らかに……。事件と探偵がいかに関わるべきか、対立し続けた男爵と霞田。二人の対決に、驚愕の結末が!
Amazon内容紹介より。

太田作品はそこそこ面白く安心して読める反面、突き抜けたものが無いのがいつものパターン。しかし本作はかなりキテます。序盤は典型的な館ミステリかと思わせておいて、実はそうでもなかったみたいな感じです。シリーズを通して読んでいないので何とも言えませんが、兎に角男爵と呼ばれる桐原がなかなか魅力的な存在です。彼は元刑事であり名探偵で、言わば霞田志郎のライバル的存在のようですね。

刑事と共に探偵が行動すると云うのはまだしも、その妹まで捜査に参加するのは如何なものかと思ったりもします。まあしかし、そこは妹の千鶴目線で描かれているので致し方なしでしょうか。
驚くような凄いといったトリックとかはありません。それでもそれを補うストーリーテラーぶりを発揮し、優れたプロットで読ませ、特に最終盤に明かされる真実が読む者の心を揺さぶります。少なくとも私はこの結末と作者の底力には平伏するしかありませんでした。本格ミステリとしてとても良作だと思います。シリーズ最終作としてエピローグにもなるほどと感じ入りました。

No.1 6点 makomako
(2009/07/10 14:28登録)
霞田シリーズの最終作という事でずいぶん期待して読んだ。このシリーズはいずれもストーリーや背景にこだわりのものが出てきてこれがまた楽しいのであるが、この作品にはそういったものはない。トリックもことになく淡々としたものだ。おなじみの人物がおなじみのように活躍して、多少のエンディング様のストーリーがあって、といったところか。ごひいきの作家の好みのシリーズの最後としては大分物足りない感じ。ちょっと残念。

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