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ミステリの祭典

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視線

作家 石沢英太郎
出版日1977年09月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 ◇・・
(2024/04/24 20:34登録)
第三十回日本推理作家協会賞を受賞した表題作など6編を収録され、それぞれに切れとコクが楽しめる。
表題作は、銀行強盗にホールドアップを命じられた行員が、非常ベルを押そうとした隣席の同僚に視線を走らせたばかりに、その同僚が射殺される事件を扱っている。彼はなぜ視線を走らせたのか。
人間の心理の微妙さを一瞬のシーンに定着させて鮮やかな印象を残す。

No.2 4点 江守森江
(2010/07/30 01:54登録)
この所、テレ東(月〜水の昼間)で約二十年前に制作した一時間完結ミステリードラマを再放送している。
しかも、最近は受賞作シリーズと銘打たれた作品群で、思わぬ作品に出くわし楽しめている。
今週の水曜日は表題作(日本推理作家協会賞短編賞受賞)だったので図書館でおさらいしてきた。
ドラマではヒロイン設定で恋愛絡みに改変され贖罪を描いていた。
どの道、視線による殺人誘導は立証出来ず法律では有罪に出来ないだろう。
そんな作品なので原作では一層モヤモヤしてしまった。
作風が嗜好に合わなかったが「一本の藁」は収録7編の中では楽しめた。
作者は二時間ドラマ好きには牟田刑事官でお馴染みなので、そのうち其方のシリーズを読んでみる予定。

No.1 7点 こう
(2009/01/04 00:22登録)
 これも日下氏同様推理作家協会賞のアンソロジーに「視線」が収められていてから読んだ作品ですが日下氏の作品同様社会派的な良質短編集でした。
 表題作は警察官が結婚式の会場前を歩いていた時新郎の顔に見覚えがあった。銀行強盗にあった銀行員有川で犯人は捕まったが非常ボタンを押そうとした勇敢な銀行員が射殺され、犯人逮捕に至るが刑事は有川の「視線」に殺意はなかったか、と自問する、というストーリーです。
 いかにも社会派的作品ですが表題作以外も粒ぞろいの作品集だと思います。本格的切れ味は薄いですが「その犬の名はリリー」、「ガラスの家」、「一本の藁」などが個人的には気に入っています。

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