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ミステリの祭典

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豪華客船エリス号の大冒険

作家 山口芳宏
出版日2008年11月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2021/04/25 22:51登録)
(ネタバレなしです) 2008年発表の本書は「雲上都市の大冒険」(2007年)の続編にあたる作品で本格派推理小説と冒険スリラー小説のジャンルミックス型であるところも共通してますが、前作が本格派要素の方が強かったのに対して本書は冒険スリラー要素の方が強いように思います。それは探偵のライバル的存在として伝説の犯罪者を登場させたことも一因でしょう。前半は抑え気味ですが中盤からは怒涛の展開です(相当にご都合主義な展開に感じましたが)。使われているトリックに既視感があり、チェスタトンや島田荘司の焼き直しに感じられてしまうのが残念です。最後の活劇シーンも明らさまにコナン・ドイルのパロディーでしょう。ワトソン役の殿島が「これはフェアじゃない」と怒った挙句に読者に対して「代わって」謝るのは作者としても色々な意味でやり過ぎたことを意識したのかもしれません。

No.1 5点 江守森江
(2010/01/17 10:20登録)
「本格おとぎ話」な推理活劇シリーズの第二弾。
乱歩の通俗探偵小説さながらに「怪人対名探偵達」が描かれ前作同様に楽しめる。
フーダニット・トリック・ストーリーは乱歩の通俗探偵小説からの寄せ集め(殆ど土ワイの明智シリーズで観た)とアレンジで、懐かしい反面オリジナリティに欠けレベルダウンは否めない。
一方、終戦後間もない時代設定だが、作中で語られる作者の現代視点での探偵小説論が乱歩との決定的な違いで本書の肝でもある。
その辺りを軸にした動機面の構築と方向性は作者の持ち味で良い。
今回登場する敵役「夜叉姫」は、最後の二行で本シリーズに於ける「乱歩の怪人二十面相の如き存在」と宣言される。
その点からも作者は書く気満々な感じだが、果たして読者に受け入れられシリーズ継続されるのだろうか?

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