home

ミステリの祭典

login
シュロック・ホームズの迷推理
シュロック・ホームズもの ほか

作家 ロバート・L・フィッシュ
出版日2000年03月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2025/12/28 16:28登録)
 “駄洒落を考えるのがだんだん難しくなり、発表される頻度が減った” と解説にあるが、逆に言えば作者はきちんとネタが溜まるまで堪えていたわけで、濃度は落ちていない。決して出涸らしなんかじゃないよ。

 ボーナス・トラック的な他シリーズ及びノンシリーズの作品も面白い。問題は、前半三分の二でシュロック・ホームズの世界に浸っていたので、他作品の世界観の調整をどうすべきか迷ってしまうこと。
 「ラッキー・ナンバー」はシュロックと似た世界だが、「クランシーと飛びこみ自殺者」は正統的な警察小説だし、「月下の庭師」「よそ者」もやや戯画的だがこちらの世界がベースになっている(筈)。それをついシュロックの気分で読んでしまったので、本来とは違ったイメージになってそう。

 そして一つ突っ込みたいのが表題。当該シリーズに於いて、笑いは物語の中ではなく読者のメタ視点に属している。真面目な顔で変なことをするのを読者が “真面目な顔で変なことをしているな~” と認識するから生まれる笑いであって、作中の人々はそれが変だと認識してはおらずシュロックをあくまで “名探偵” として遇しているのだ。
 であるなら、『迷推理』=“コレはギャグですよ~” な邦題はコンセプトから外れていると思う。格調高く、とは言わないが、『冒険』『回想』と来たのだから原典に倣って『シュロック・ホームズ最後の挨拶』とでもすべきではないだろうか。

No.1 6点
(2023/10/14 10:39登録)
シュロック・シリーズのうち、『冒険』『回想』から1編ずつと、その後の発表作9編、それにシュロックものでない5編を収録した、光文社独自編集短編集です。
シュロックの推理は、英語原文でないとわからないものも多く、特に表題作は何が何だかですが、だいたいにおいて楽しめました。シュロックの迷推理で偶然事件が本当に解決できてしまうものもあります。シュロック以外のものは意外にほぼ正統的でした。
それにしてもシュロック・シリーズ、時代設定がよくわかりません。『アスコット・タイ事件』だと書き出しが「五九年の…」と年が二桁で示されていますが、ロンドンを馬車が走っている一方で日本大使館が存在します(Ogimaはオジマじゃなくオギマでしょう)。他の作品もそうで、新発明のラジオだとか映画(『羅生門』『ピーター・パン』等)だとか。最たるものは『ウクライナの孤児』で、1897年版の参考文献が最新版らしい七九年…???

2レコード表示中です 書評