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ミステリの祭典

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スポンサーから一言

作家 フレドリック・ブラウン
出版日1961年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2023/05/16 06:43登録)
(ネタバレなし) 
 ショートショートと、通常~やや長め?(中編とまではいかない)の短編群を混ぜこぜにして、21編収録。

 大昔、少年時代に初めて手にしたときは、全部がショートショートではないという不均一ぶりに何か引っかかりを覚え、途中で読むのをヤメていた。
 それからウン十年、家の中から出てきた本を、最初から読み直してみる。

 前半にほぼ集中して掲載されている、口当たりの良いショートショートのうちでは、その手のものが多い本書のなかでも特に寓意的な『武器』がベスト。

 少し長めのもののなかでは、ブラウンというよりブラッドベリ風の寂しい詩情だ、という感じの『ドーム』がお気に入り。

 原書では表題作の『地獄の蜜月旅行』は、月のクレーター「ヘル」を合流地点にして、月面ランデブー生活を送ろうとする米ソの男女宇宙パイロットの話だが「そういう」方向に行くとは思わなかった、と軽く度肝を抜かれた。

『闘技場』『スポンサーから一言』は名作という定評が先走って予断が付いて回った感もあるが、実作を読んで初めて感じる思いもあり、ちょっとしみじみ。

『かくて神々は笑いき』は、藤子・F先生の某作品の某エピソードの元ネタかな? 

 58年に原書が刊行された旧作SF短編集としては、良くも悪くもこんなものだろう、という手ごたえ。

 鬼才の傑作短編集とか妙な持ち上げ方しなければ、それなりに楽しめる。
(正直、タルいものもいくつか・汗。)

 たしか丸々一冊ショートショート集だった『未来世界から来た男(悪夢とジーゼンスタックス)』の方が単純に楽しめた気もするが、ソレは何十年も前の記憶なので、21世紀の視点の感想的には、当てにならない? 
 ブラウンの持ち味そのものは、たぶんこっち(本書)の方が、断然出ている気はする。

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