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ミステリの祭典

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ハルビン・カフェ

作家 打海文三
出版日2002年04月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 レッドキング
(2023/01/14 09:26登録)
近未来またはパラレル世界設定のSF風警察ノワール。諸外国マフィアが割拠支配する福井県の架空都市を舞台に、警察内派閥・・官房系vs公安系vs警官テログループ・・の血まみれ暗闘劇が、キャリア女監察官・五十代刑事・元街娼児童の女・謎の多重混血男・殺された警官遺児達・外国マフィアボスを駒に展開し、二十年に及ぶ事件史の真相が、謎の男の正体と併せて明らかにされて行く。
「水位が高まると若者は何かの決断をしたがる。決断の中身は空虚そのものなのに・・・」

No.1 7点
(2014/02/09 12:14登録)
2002年に発表された本作の時代設定は、携帯電話や登場人物の世代からすると、たぶん2019年頃だと思われます。あいまいな書き方のわりに、中途半端な年だと言われるかもしれませんが、実は有名なSF映画『ブレードランナー』の設定年だからです。異文化が混在する猥雑で暗い感じのハードボイルドな雰囲気には、共通するものがあると思います。ただし、本作ではSF的ガジェットは全く出てきません。
章ごとにさまざまな登場人物の視点から、少しずつ明らかにされていくのは、北陸の架空都市「海市」を中心に起こった約20年間にわたる様々な事件の相互関連です。そしてそれらの事件の影から浮かび上がってくる一人の男の実像。彼がルトガー・ハウアー演じるロイ以上に超人的に見えるのは、さすがにちょっとどうかとも思えますが。
腐敗した警察とギャング世界を重厚なタッチで描いた大作で、読みごたえ十分でした。

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