真珠の首飾り ディー判事 |
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作家 | ロバート・ファン・ヒューリック |
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出版日 | 2001年02月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | nukkam | |
(2016/07/30 05:11登録) (ネタバレなしです) ファン・ヒューリックが亡くなった1967年に発表されたディー判事シリーズ第13作です。今回は殺人もあるけどそちらの犯人はすぐ判明しており(しかも推理の要素はほとんどない)、盗難事件の実行犯もまた早々と明らかになり、真珠の隠し場所がメインの謎になっています。ここでディー判事がとった探偵法は何とG・K・チェスタトンの短編集「ブラウン神父の秘密」(1927年)を彷彿させるようなものでした。論理的ではありませんがディー判事の説明を聞くと確かにあそこしか考えられないであろう隠し場所で説得力のある推理でした。それにしても今回はディー判事が眠りにつく場面がやたら多かったような気がしますが、やはり皇族からの直々の依頼では心労も半端ではなかったのでしょうか(笑)。 |
No.1 | 5点 | 臣 | |
(2014/12/01 10:37登録) ディー判事シリーズ第13作。 ディー判事は、真珠の首飾りの盗難事件の捜査依頼を受け、事件に巻き込まれながらも大活躍する。判事による捜査は、潜入捜査のような、医者になりすましてのお忍びの捜査です。 中編ほどの分量ですが、真珠盗難事件だけでなく、殺人事件と失踪事件とが絡ませてあります。個人的にもっとも興味深かったのは、ディー判事が最初に出会う老道士の正体です。これについては最後の最後に明かされます。 といった感じに多くの謎が盛り込んであり、しかも簡潔にまとめてあり、なかなかのものと言いたいところですが、知らないうちに解決にいたってしまうような感じがし、名推理というほどではないのではと思ったりもします。 真珠の隠し場所はお見事ではありましたが。 ということで本格ミステリーとしては、やや物足りませんが、冒険要素や中国の時代感を楽しめたので、時代娯楽小説としては上出来でしょう。 ただ、唐の時代背景が、はたしてこんな感じだったのかというのは疑問です。挿絵でごまかされているような気がしないでもありません。 時代物は国内ものも中国ものも好きなので、今後も楽しく読んでいけそうです。 ちなみに、近くの図書館の書架には数年は楽しめそうな、多数のHPBが並べてありました。 |