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ミステリの祭典

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倉敷・博多殺人ライン
壮&美緒

作家 深谷忠記
出版日1992年11月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2014/10/22 10:36登録)
(ネタバレなしです) 1992年発表の壮&美緒シリーズ第24作の本格派推理小説で、アリバイ調査もありますがいわゆるアリバイ崩しではありません。動機が曖昧で犯人を絞り込めない状況が延々と続き捜査がなかなか進展しません。そのため壮の推理が被害者のちょっとした不自然な行動に着目するところから始まる展開に無理がありません。地味なプロットを洗練された文章で退屈しないように工夫していますが、人物描写が淡白なので複雑な動機については読者の共感を得にくくなっている面も否定できません。

No.1 5点
(2014/04/01 23:53登録)
トラベル・ミステリーと言えば西村京太郎や内田康夫がまず思い浮かびますが、本作を読む限りでは、深谷忠紀の方がそう呼ぶにふさわしい内容になっていると思いました。
タイトルの地名のうち博多の方は、事件の発端に多少関係があるという程度ですが、殺人現場となった倉敷については大原美術館を中心とする美観地区が何回かに分けてかなりじっくりと描かれていますし、他にも事件に関係する西多摩郡檜原村、青梅市の御岳渓谷などの風景にも筆を費やすことのできる話の運びにしていて、ほとんど観光案内的とも言えそうです。
かなりの数にのぼるらしい壮と美緒シリーズの1冊で、美緒には「宇宙人」と言われるかなり茫洋とした名探偵役黒江壮の推理はなかなかていねいです。殺人事件とミステリの盗作疑惑との関係はちょっと肩すかしな感じがしなくもありませんし、謎解き的には特筆すべき点はありませんが、そこそこ楽しめました。

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