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ミステリの祭典

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ゴミと罰
主婦探偵ジェーン

作家 ジル・チャーチル
出版日1991年08月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2016/05/08 15:24登録)
(ネタバレなしです) 米国のジル・チャーチル(1943年生まれ)の主婦探偵ジェーン・ジェフリイシリーズは著名な文学作品をもじったタイトルを付けているのが特徴で、1989年のデビュー作である本書の場合はドフトエフスキーの「罪と罰」(1866年)を流用しています。但し作品の中身は全く関連がないのでドストエフスキーを未読でも支障はありません。ジェーンのアマチュア探偵ぶりがまだ板についておらず、いくら容疑者(顔見知りの近所の主婦一同です)が知り合いだからって「おいおい、そんなことまで尋ねちゃって大丈夫か?」とハラハラさせます。まあそこが新鮮で一番面白いんですけど。コージー派に属する作品ですが謎解き伏線もちゃんと張ってあるし、どんでん返しもあって本格派推理小説の水準は十分保たれています。単にデビュー作として重要なだけでなく、シリーズ全体の中でも良く出来た作品です。

No.1 6点
(2011/06/01 10:12登録)
旦那と死に別れた子持ち主婦が探偵役を務めるユーモア本格ミステリ。危なっかしく立ち回りながらも殺人事件を解決へと導いていきます。
殺人は近所の友人の家の中で起こり、登場人物のほとんどが隣近所の主婦たちという、生活密着型のいたって軽めのミステリですが、本格要素はほどほどにあり、その謎解きヒントも適度に散りばめてあります。まあでも、しっかりと読めばこれしかないな、という感じはしましたが。
本書の特徴はそんなミステリ部分よりも、主婦の生活感のある会話や行動描写にあります。米国には仕事でしか行ったことがないので生活環境のことはよくわかりませんが、現地の生活ってこんな感じなのかな、とちょっと意外に思いました。主婦たちの濃密な近所づきあいもあれば、嫁姑の問題もあり、まるで日本のホームドラマを見ているようです。もしかしたら公園デビューもあったりするのでしょうか。
文章は読みやすく、内容的にも退屈な箇所はありませんでした。猛烈な勢いで読み進むのですが、スピードを上げすぎてヒントを逃したんじゃないかと後戻りすることもしばしばありました。読みやすいのも考えものです。
原題は Grime and Punishment 、それを『ゴミと罰』に。うまく訳しますね。シリーズを通じてこんな調子のタイトルを付け続けた原作者のアイデアには(翻訳者にも)感心します。

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