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ミステリの祭典

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泥棒は哲学で解決する
泥棒バーニィ

作家 ローレンス・ブロック
出版日1983年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 Tetchy
(2014/03/11 23:11登録)
前作『泥棒は詩を口ずさむ』から引き続きバーニイは古書店店主を営み、友人の犬の美容師キャロリンは前作の事件がもとで彼の泥棒稼業のパートナーとなって一緒に盗みを働いている。

そして泥棒に入った家でまたもや殺人事件が起き、バーニイは容疑者になってしまうが、今回は逮捕されず任意同行と云う形で警察署に引っ張られるものの、生き残った被害者への面通しで別人だとされるのが今までとは違うところ。つまり今までは警察に捕まりそうになったところを寸でのところで逃げ出し、世間から隠れながら事件を解決するという手法だったのだが、本作では証拠不十分として釈放され、警察からの嫌疑を受けながらもいつも通りの古書店主としての生活をして犯人探しをしているのがミソ。これが今まで行動の不自由さゆえに物語が停滞しがちだったこのシリーズの欠点を見事に補っており、通常よりも物語に躍動感があるように思えた。

2人もの死人を出しながらも一人の死を巡ってそれぞれの関係者に隠された暗い過去や事実を探るマット・スカダーシリーズの語り口よりも明るいというのが非常に面白い。

また作中やたらとロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズを揶揄しているのが目に付いた。自身の生み出したアル中探偵マット・スカダーと健康的で現代的な探偵スペンサーとを比較しているのだろう。どちらもネオ・ハードボイルドとして新たな探偵像を描きながらも、スペンサーシリーズの方が当時は売り上げも高かったことに対する作者のやっかみのようにも取れる。こんな健全な探偵が活躍する物語のどこが面白いのかねぇ、とバーニイが代弁しているかのようだ。

そして最後はなんと関係者一同を集めての謎解き披露!これで作者ブロックが意識的に昔の本格ミステリの形式を踏襲して書いていることを認識した。

1人目の殺人事件の犯人は早々に解ったが2人目の犯人は正直意外だった。ヒントはきちんと散りばめられているのでなかなか侮れないのだ、このシリーズは。

No.1 6点 kanamori
(2010/06/15 21:20登録)
泥棒バーニイ・ローデンバーが探偵役を務めるシリーズ第4弾。
泥棒に入った先で死体に遭遇したり、関係者が殺されバーニイが容疑者になるという同じパターンで巻き込まれ型探偵を演じます。一人称形式で語られるバーニイの軽妙なアメリカン・ユーモアも楽しみの一つですが、毎度きっちりフーダニットものの本格ミステリになっていて、今回も大団円では関係者を集めての謎解きが見られます。
本作は特に犯人特定のロジックがきれいに決まっているように思いました。

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