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ミステリの祭典

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死体が多すぎる
修道士カドフェル

作家 エリス・ピーターズ
出版日1991年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 nukkam
(2016/05/14 22:19登録)
(ネタバレなしです) 本書のminiさんのご講評で「物語中心の本格というのもありだと思う」とこのシリーズを統括評価されていますが私も賛成です(謎解きの魅力がないことの免罪符乱発になっても困りますけど)。1979年発表のカドフェルシリーズ第2作の本書の場合はどうでしょう?作中時代は1138年8月、94人の戦争捕虜を処刑したはずなのに埋葬のためにカドフェルたちが調べると死体が95体あったという発端は非常に魅力的です。しかし余分の死体の正体はあっさりと判明します。書き方によってはここにもっとページを費やすことも可能でしょうがそこはピーターズ、どんどん話を進行させます。前作の「聖女の遺骨求む」(1977年)が神秘宗教劇的な要素が強かったのに対して本書は冒険小説的な要素が強いです。特にカドフェルとある登場人物〇〇との、財宝を巡っての虚々実々の駆け引きは見事な出来映えです。犯人当てとしては弱く、ある登場人物が指摘したように論理的関連のない推理ですがストーリーの面白さは抜群で、結末の弱点をカバーしています。

No.1 6点 mini
(2013/01/08 09:55登録)
* これは過去に書評済だが一旦削除して再登録(^_^;)

今年はエリス・ピーターズ生誕100周年である
修道士カドフェルシリーズ第2作
はっきり言って本格としての魅力は薄く、ひたすら物語に浸るという読み方が正しいシリーズで、作者も謎にこだわることなく、どんどんと物語を進めていく
こういった話の進めかたが苦手で謎の吟味に頁数を割いて欲しいタイプの本格主義読者には全く合わないが、物語中心の本格というのもありだと思う、これが作者の持ち味なんだろう
シリーズ第1作「聖女の遺骨求む」は後続の作品群とはやや異質なので最初に読むならこの第2作「死体が多すぎる」から入門するのがベストな選択
後のライヴァルであり盟友のヒュー・べリンガーが初登場でもあるし
ただし第2作目以降の作では、スティーヴン王と女帝モードとの12世紀イングランド内乱という歴史的背景は基礎知識として持っている必要がある、まぁこの辺は解説に概要が書かれているが
ところで死体が多過ぎる謎は帰結であって発端なのは逆だ、みたいな事を言う書評も某有名掲示板で見た事が有るが全く賛成出来ない
そんな事を言うのは、チェスタトンの某有名な短編ネタの発想であろうが、それは視点を間違えている
死体が多過ぎるのは真相ネタでは決してなく、あくまでもカドフェルが事件に関わるきっかけだからこれでいいのだ

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