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ミステリの祭典

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奥鬼怒密室村の惨劇

作家 梶龍雄
出版日1984年09月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2023/07/07 22:59登録)
(ネタバレなしです) 1984年発表の本格派推理小説です。作中時代を太平洋戦争末期にし、主人公を17歳の少年に設定して青春小説要素があるところは「ぼくの好色天使たち」(1979年)を連想させます。主人公が年上の女性に憧れて通俗要素の濃い展開(エロシーンあり)となる前半は読者の好き嫌いが分かれそうですが単なる色恋描写ではなく、後半の捜査活動に少なからぬ影響を与えていますのでプロット上の必要性はあったと解釈すべきでしょう。どんでん返しの鮮やかな推理議論はこの作者ならではですが、それ以上に印象的なのは非情なまでに劇的な締め括りでしょう。これも読者の評価は分かれそうですが。

No.2 6点 kanamori
(2011/01/10 18:08登録)
戦時下の疎開先の閉された山村を舞台に、少年視点で語られる殺人事件ということで、初期の青春ミステリ風の物語をイメージさせますが、実際は官能&猟奇連続殺人を扱った本格編。
しかも、それらの表面的な事象の裏に隠された構図は、予想外で驚かされます。
文章は相当読みずらいのですが、これまでの作風自体をミスディレクションにしたようなプロットは買いです。

No.1 6点 こう
(2009/12/06 22:02登録)
 乱歩賞スペシャル第一期書き下ろし作品です。太平洋戦争末期で軍人の子息がメインキャラクター、疎開先の村で起こる連続殺人事件を扱っています。
 作風は下手な官能小説プラス本格小説といった趣きで乱歩賞スペシャルでよくこれを描けたな、という印象でした。他作品同様あまり主人公に感情移入できないですが本格的構成を保っており伏線もしっかりまかれており個人的には楽しめました。ただ発表年を考えれば売れなくても仕方なかったのかな、とも思える作品でした。

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