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ミステリの祭典

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喘ぎ泣く死美人

作家 横溝正史
出版日2000年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 谷山
(2014/08/17 10:32登録)
「憑かれた女」の原型が収録されていたのでそれを目当てに再読。ほとんどの作品が短編かショートショートなので気楽に読めました。

「川獺」
大正11年の作品ということで、作者の作品としては最初期にあたりますが、登場人物ごとに章立てしてあるので話の内容が分かりやすく、かつ結末も意外なもので楽しめます。

「艶書御用心」「素敵なステッキの話」
シュールなユーモアものですが、正直あまり好みではないです。

「夜読むべからず」
ポーを彷彿させる自業自得なホラーもの。タイトルほどには怖くない。

「喘ぎ泣く死美人」
これもホラーですが、主人公があまり怖がらないのであまり怖くない。多分これが表題作になったのはタイトルが印象的だからなのでしょう。

「憑かれた女」
大筋は改稿版と同じですが、由利先生が登場しないためにラストにまとまりがなく、主人公のエマ子も単なる嫌な奴になっています。これは改稿して正解でしょう。
ただこの本で一番分量があるのがこのあんまり面白くない作品なのが辛いです。

「ショートショートストーリー集9編」
玉石混合な感じですが、「桜草の鉢」と「相対性令嬢」が面白かったです。あと道に落ちてるお金を拾うことを職業にした男が主役の「地見屋開業」に妙に夢を感じましたw

「絵馬」
戦後に書かれただけあって、この本の中で一番出来がいい作品。金田一こそ登場しませんが、これが読めるだけでもこの本には価値があります。

「灯台岩の死体」
川獺よりわずか一年前の作品なのですが、妙に読みにくかったです。オチもイマイチ納得できず。

「甲蟲の指輪」
これも正直イマイチ。

No.1 6点 シュウ
(2008/10/13 21:58登録)
小品が多い短編集ですが、この中では「川獺」と「絵馬」が後の金田一シリーズを連想させて面白いです。
「絵馬」は昭和21年の作ですが「川獺」の方は大正11年の作で、この時期から後に通じる作風があったんだと感慨にふけってしまいました。
「憑かれた女」はオチがあまり好きじゃないです。後に由利先生シリーズに改作されたらしいですがそっちは読んでないので分かりません。
後はショートショートの「桜草の鉢」が横溝正史らしくないほのぼのとした話で好きです。

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