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ミステリの祭典

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四月の屍衣
ダルジール警視

作家 レジナルド・ヒル
出版日1997年03月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2015/09/12 08:29登録)
(ネタバレなしです) 1975年発表のダルジールシリーズ第4作です(本当はディーエルと発音するのが正しようです)。前作の「秘められた感情」(1973年)ではやや脇役的な扱いだったダルジール、本書では堂々の主役です。逆にパスコーはほとんど出番なしで、主役を1人に絞ったためかヒル作品では屈指のシンプルで読みやすいプロットです。1970年代の作品ながら昔風の「世にも奇妙な物語」的な雰囲気が漂っているのが特色で、初期代表作と評価されているのも納得です。ところでダルジールは見事な推理を披露していますが最終的には失敗したことになったのでしょうか?名探偵のようでもあり迷探偵のようでもあり、最後まで奇妙な本格派推理小説でした。それも作者の計算の内かもすれません。

No.2 5点 江守森江
(2010/10/16 04:52登録)
昨日の書評でダルジール警視シリーズのおさらいを断念すると書いたが、この作品は(古く文字焼けしたポケミスでなく)綺麗な文庫本で、前もって図書館から借りていた事と人間関係の入り組み方など字幕ドラマを何度も見返すより活字で納得する方が楽なのでおさらいする事にした。
ドラマ版ではタイトルが四月から秋に(原題から)変更されているが、大雨の時期を待って撮影したからなのだろうか?
前半は事件らしい事件が起きるでもなく胡散臭い関係描写がノンビリ描かれるので、面白さはダルジール警視の厚顔さとその隙間から滲み出る愛嬌やパスコー達とのやり取りに集約してしまう。
更に、論理より人間関係を紐解くタイプの作風で嗜好からズレているので先にドラマ版でウォーレン・クラークの素晴らしいキャラを楽しむ方がダルジール警視シリーズは取っつき易かった(AXNミステリーでしかドラマ版は放送されていないと思うので観れない或いは見逃した方に配慮していませんゴメンナサイ)
※余談
嫁に「アナタってダルジール警視(ウォーレン・クラーク)に見た目から性格まで似てるわね」と言われショックだった。
「俺はあんなブルドック顔じゃない!そんな俺に惚れたオマエのセンスは・・・」と間違っても反撃出来ない情けない私である(;_;)

No.1 7点 mini
(2009/04/01 10:27登録)
英国現代本格を代表する作家と言えばレジナルド・ヒルだろう
しかも有名なわりに読まれていない感じなのは気のせいか
このサイトでもここまでヒルの書評は1件もなかったし
男性作家だがセイヤーズらの系譜を感じる物語性重視な本格だけに、本格=パズル論者には興味を引かないのだろうか
しかしヒルの人物造形の確かさと自然な会話文は、まるで実在の人物が眼前に存在するかのようだ
ヒルは第一級の文章が書ける作家である
ところで四月に入ったけど、英国の四月ってこんなに洪水に悩まされるとは
ただし日本でイメージする激しい洪水ではなくて、巨大な水溜りのイメージだけどね

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