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ミステリの祭典

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ネロ・ウルフ対FBI
ネロ・ウルフ

作家 レックス・スタウト
出版日1986年10月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 8点 クリスティ再読
(2021/06/12 15:10登録)
ビル王の女性富豪の依頼をウルフは受けかねていた....FBIを告発する本をタダで配ったことを恨まれて、FBIに自分が監視・嫌がらせされているのを何とかしてほしい、というムチャな依頼なのだ。しかし拘束料10万ドル+成功報酬思いのまま、という超破格の報酬をウルフは断れなかった....当然、ウルフの家もウルフのチームも、FBIの監視下に置かれることになるのは覚悟の上。FBIと取引するにも、何かFBIの弱みを握らないことには話にならない。FBIの不祥事を掘り返すことをアーチ―は命じられるが、匿名の伝言で呼び出されたアーチ―はとある人物(レギュラーの一人だが...)に、ルポライター殺しにFBIが絡んでいる情報を提供された。しかも、この殺人には依頼人の周辺の人間がかかわっているようだ....真相を洞察したウルフは一計を案じて奇抜な罠を張る

という話。どうも評者は「料理長」とか「シーザー」みたいなアウェイの作品を先にやってしまって残念だったが、今回は「平常営業のネロ・ウルフ」。フリッツもシオドアも、ソールもオリーもフレッドも、クレイマー警部も皆登場。いやもう、何というか楽しさ全開!
一応ルポライター殺しの真相をアーチ―が突き止めるが、これはたいして面白いものでも何でもないが、ウルフの交渉材料の役には立つ。そんな具合で、話の興味はFBIとの対決に全振り。ウルフの思惑や駆け引き、アーチ―とのコメディ、それに大掛かりな罠の妙味、そういった「犯人捜し」以外の部分での面白さが際立っている。
ネロ・ウルフというと意図的なホームズ探偵譚の後継者、という側面があるわけだけど、ホームズ探偵譚の「面白さ」というのは、本来こういう探偵が仕掛けるアクティブな罠や、度胸一番の駆け引き、土壇場での機知、といったあたりでも出来ていたわけだ。そういう「ホームズの面白さ」をこれほどしっかり再現できた作品というのも少ないんじゃないかな。

ちなみにホームズでも物語の最後に「さるお方」がお礼に訪れる結末があるけども、本作も「さる人物」が最後にウルフに面会を希望する...でも、ウルフはイケズだからね。

No.1 4点 江守森江
(2010/10/18 07:16登録)
録画してあったドラマシリーズ(飛び飛びに11話)をまとめて観た。
ドラマ化されながらも元が短編な為に翻訳出版されていない作品か翻訳された長編はドラマ未見で、おさらいの対象作品が本作だけだった。
ドラマと本作しか接していないがネロ・ウルフのキャラクターと助手のアーチーとのやり取りは楽しい。
ミステリとしては落差があり、本作はイマイチな部類だろう。
本作に限ればネロ・ウルフが名探偵には思えず、全盛期の小錦を彷彿させる単なる巨デブに思える。
2chの《アナタの依頼したい探偵》スレにネロ・ウルフと書かれていたが、依頼内容が「白鳳の連勝を止めてくれ!」に爆笑した。
※余談
1.誰かパロディで、アワビとチューリップが大好物な設定の「スケベ探偵エロ・ウルフ」を書いてくれないだろうか!
2.全盛期の小錦はエッチは騎乗位専門で、付き人がジャマな腹の肉を支えていたらしい(吉原ソープ街発信のヨタ話)

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