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ミステリの祭典

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死墓島の殺人
藤田警部補シリーズ

作家 大村友貴美
出版日2008年08月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/03/16 19:48登録)
(ネタバレなしです) 2008年発表の藤田警部補シリーズ第2作です。登場人物は多過ぎず少な過ぎずですが真相は思ったよりも入り組んでいて、自分でも犯人当てに挑戦したいという読者はこれでは当てようがないと不満を抱くかもしれません。前作の「首挽村の殺人」(2007年)では藤田警部補の存在感が希薄に感じられましたが、本書では彼の捜査場面が増えて引き締まったプロットになっています。社会問題描写については好みが分かれるかもしれませんが、謎解きの興味を削がない範囲に留まっていると思います。

No.1 6点
(2010/10/20 21:39登録)
最初に、これはいわゆる「本格派」ミステリではないと断言しておきましょう。フェアプレイが守られているとは言い難いですし、鮮やかな論理や大胆なトリックがあるわけでもありません。
では何かといえば、人情派ミステリです。ラストである中心的な登場人物の性格が掘り下げられていくところが、最大の魅力になっています。「死墓島」が本来の漢字の「思慕島」の意味を取り戻すようなエピローグも味がありますし、いじけたところのある藤田警部補も、このような小説の探偵役にはふさわしいと言えるでしょう。
そんなわけで、横溝正史との比較については、優劣の問題以前に、目指すところが全く違うわけです。
ではタイトルの不気味さはどうなのかというと、これが内容にどうも合っていないのです。流刑の島としての歴史にしても、まさに歴史的興味があるだけで、現代までつながる怪しげな雰囲気が感じられません。
過疎の問題を抱えた島が舞台というだけにした方がよかったと思える作品でした。

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