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ミステリの祭典

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松風の記憶
中村雅楽/創元文庫版は長編『第三の演出者』を併録

作家 戸板康二
出版日1960年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 ボナンザ
(2014/07/16 13:08登録)
戸板の長編二作を納めた最終巻。
松風の記憶は新聞連載ということもあってかやや冗長な面もあるものの、心理描写はやはりうまい。
第3の演出者もオチは読めるが、中々にうまい書き分けがなされており、読んでいて退屈しない。
雅楽の推理が一足飛びなのがやや残念。

No.1 5点
(2010/11/08 21:11登録)
現在創元推理文庫からは『第三の演出者』と併せた分厚い形で出版されていますが、読んだのは以前の単独で出ていた版です。
新聞に連載された作品だそうで、同じ事実を後から再度説明しているところがあったりするのは、そのせいでしょうね。一気に読む場合にはどうもわずらわしい感じがします。
名探偵中村雅楽による謎解きということでは、見所は全くないと言っても過言ではないでしょう。途中に小納戸容(こなんどいる)なんて珍妙な作家の推理小説を持ち出してくるお遊びもあり、その部分ではホームズばりに知人がしてきたことをあててみせますが、本筋での推理は空振りしています。
その本筋は、最初に奇妙な状況の病死事件(本当に病死です)があった後は、歌舞伎や日本舞踊の世界を舞台に穏やかなタッチで繰り広げられる人間模様。そして最初の事件から3年後、小説では8割を超えてから起こる殺人へとつながっていきます。どういう方向に向かうのかは、半分ぐらい読んだところで予想はつきましたけど。主人公と言えるふみ子の描き方が、もう少しなんとかならなかったかな、と思えました。

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