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ミステリの祭典

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女占い師はなぜ死んでゆく
ヒラリー・テイマー教授シリーズ

作家 サラ・コードウェル
出版日2001年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2023/06/21 09:01登録)
(ネタバレなしです) 2000年発表のヒラリー・ティマー教授シリーズ第4作の本格派推理小説で、サラ・コードウェル(1939-2000)の遺作となりました。「セイレーンは死の歌をうたう」(1991年)からかなりの期間を置いての発表となってますが、ハヤカワポケットブック版の巻末解説によると病と闘いながらの執筆だったようです。残念ながら出来栄えは感心できませんでした。何がメインの謎なのか焦点が定まっておらず、怪死事件さえも犯罪性がはっきりしていません(警察が捜査している描写もない)。推理説明も切れ味を感じさせず、すっきり感が得られませんでした。これまでに翻訳紹介された作品では本書の翻訳が主人公の性別を意図的に曖昧にしている設定を最も意識していますが、ですます口調の会話がぎこちなくてどうにも読みにくいです。翻訳の方向性としては正しいのでしょうけど、正しい翻訳が良い翻訳とは限らないですね。過去作品での教え子たちとのざっくばらんな会話が醸し出すユーモアが本書では消えてしまいました。

No.1 7点 kanamori
(2010/06/17 18:57登録)
ヒラリー・テイマー教授を探偵役とするシリーズ第4弾。
大学教授と教え子が安楽椅子形式で殺人事件の真相を解いていくというのがシリーズの常道で、本作も女占い師の謎の死を、主に関係者からの手紙で事件を描写しながら推理していきます。
若干地味な印象もありますが、複数人物による推論を二転三転させる手際は巧みで、本格ミステリのツボを押さえています。作者急逝により本書が遺作になり、テイマー教授の人物像(性別も不明)も謎のままとなりましたが、もっと読みたかったシリーズです。

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